The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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特別企画

特別企画(III-SP)
COVID-19について今語れること

Tue. Nov 24, 2020 12:40 PM - 2:40 PM Track1

座長:稲井 慶(東京女子医科大学心臓病センター 循環器小児・成人先天性心疾患科)
座長:藤井 隆成(昭和大学病院 小児循環器 成人先天性心疾患センター)

[III-SP-1] COVID-19 感染―世界の動向とこれから

二木 芳人 (昭和大学医学部 内科学講座 臨床感染症学部門)

2020年10月15日現在、世界におけるCOVID-19感染症はまだまだパンデミック真っ只中にあり、連日30万人を上回る新規感染者が報告されつつある。特に欧州各国では、夏季休暇での人の動きの活発化、並びに様々な経済活性化策の実施に伴い、第2波とも呼ぶべき感染拡大が9月以降顕著である。一方我が国では、感染状況は小康状態にあり、連日全国で600人前後の新規感染者が報告されるものの、現時点で重症者数や死亡者数が急増する気配は無く、政府による経済活性化策も相次いで実行されつつある。ただし、我が国も含めてこれから秋・冬の感染症シーズンを迎えようとしている北半球の各国では、COVID-19感染症のさらなる拡大が懸念されている。また、一部には冬季の季節性インフルエンザとの同時流行を懸念する声もあり、その場合、医療現場における混乱は想像を絶するものともなりかねないので、今からの周到な準備を整えることが求められるであろう。さて、COVID-19感染症との戦いもすでに10か月以上となり、当初、謎多き感染症であった本症も、まだまだ謎の部分はあるものの、いくつかの点が解明され明らかになっている。例えば、感染経路・様式や感染時の病態、重症化のリスク因子などであり、それに基づき予防のあり方、患者マネージメントなどは格段の進歩を得ており、我が国での第2波での患者予後の大きな改善にもその成果は見て取れる。ただ、COVID-19への感染免疫の獲得、速やかな遺伝子変異とウィルス特性の変化、後遺症の有無や種類など、残された課題はまだいくつもあり、ワクチンや治療薬の開発もまだまだ楽観視はできず、今後COVID-19との戦いは長期戦となると考えられる。本講演では、世界と我が国の現状を比較・検証し、我々の対応のあり方を考えながら、今後のCOVID-19感染症の行きつくところを窺ってみたい。