[III-YB04-3] 主要体肺側副血行路を合併したファロー四徴症の修復手術後における肺高血圧症のリスク因子
キーワード:主要体肺側副血行路, 肺高血圧症, ファロー四徴症
【背景】主要体肺側副血行路を合併したファロー四徴症(TOF/MAPCAs)の患者では、しばしば区域性肺高血圧が認められるが、その病態生理には不明な点が多い。
【目的】TOF/MAPCAsの修復手術後に肺高血圧症を生じるリスク因子を明らかにすること。特に術前の心カテ検査で得られる指標に注目した。
【方法】2009年以降に当院で統合的肺動脈再建と心内修復術を行ったTOF/MAPCAsの患者12例を対象とし、術前および術後の心カテ検査の計測値を後方視的に収集した。修復術後に末梢性肺動脈狭窄が残存していた5例は、外科的あるいは経カテーテル的な再介入の後に行われた最新の心カテ検査計測値を評価対象とした。術後肺高血圧は、いずれかの肺動脈枝で平均肺動脈圧が20 mmHg以上であったものと定義した。術後肺高血圧の有無で患者を2群に分け、データを比較した。P値<0.05を有意水準とした。
【結果】修復術施行時年齢は中央値2.1歳(0.5~28.2歳)であった。2例で心内修復術に先立って統合的肺動脈再建が行われ、10例では同時に施行された。術後心臓カテーテル検査は、心内修復術の1.2年後(0.2~8.7年後)に行われ、5例が術後肺高血圧症の定義を満たした。術後肺高血圧の患者では、肺高血圧のない患者に比べ、術前の混合静脈血酸素飽和度が有意に低かった(57% [55%~63%] vs. 65% [53%~75%], p<0.05)。両群で、心内修復術時年齢、術前の動脈血酸素飽和度(83% [69%~86%] vs 83% [75%~90%], p=0.53)、術前の末梢肺動脈平均圧(単位mmHg; 右20 [11~36] vs. 17 [8~37], p=0.74:左16 [10~18] vs. 18 [8~24], p=0.57)に有意差はなかった。
【考察】術前の混合静脈血酸素飽和度が低いことは、術後の区域性肺高血圧症の発症と関連していた。混合静脈血酸素飽和度の低下は、組織の酸素需要に対して供給が不足することで生じ、肺血管床が少ないことを反映すると考えられ、術後区域性肺高血圧の発症を予測できるかもしれない。
【目的】TOF/MAPCAsの修復手術後に肺高血圧症を生じるリスク因子を明らかにすること。特に術前の心カテ検査で得られる指標に注目した。
【方法】2009年以降に当院で統合的肺動脈再建と心内修復術を行ったTOF/MAPCAsの患者12例を対象とし、術前および術後の心カテ検査の計測値を後方視的に収集した。修復術後に末梢性肺動脈狭窄が残存していた5例は、外科的あるいは経カテーテル的な再介入の後に行われた最新の心カテ検査計測値を評価対象とした。術後肺高血圧は、いずれかの肺動脈枝で平均肺動脈圧が20 mmHg以上であったものと定義した。術後肺高血圧の有無で患者を2群に分け、データを比較した。P値<0.05を有意水準とした。
【結果】修復術施行時年齢は中央値2.1歳(0.5~28.2歳)であった。2例で心内修復術に先立って統合的肺動脈再建が行われ、10例では同時に施行された。術後心臓カテーテル検査は、心内修復術の1.2年後(0.2~8.7年後)に行われ、5例が術後肺高血圧症の定義を満たした。術後肺高血圧の患者では、肺高血圧のない患者に比べ、術前の混合静脈血酸素飽和度が有意に低かった(57% [55%~63%] vs. 65% [53%~75%], p<0.05)。両群で、心内修復術時年齢、術前の動脈血酸素飽和度(83% [69%~86%] vs 83% [75%~90%], p=0.53)、術前の末梢肺動脈平均圧(単位mmHg; 右20 [11~36] vs. 17 [8~37], p=0.74:左16 [10~18] vs. 18 [8~24], p=0.57)に有意差はなかった。
【考察】術前の混合静脈血酸素飽和度が低いことは、術後の区域性肺高血圧症の発症と関連していた。混合静脈血酸素飽和度の低下は、組織の酸素需要に対して供給が不足することで生じ、肺血管床が少ないことを反映すると考えられ、術後区域性肺高血圧の発症を予測できるかもしれない。