[OR01-1] 膜様部心室中隔欠損と房室中隔欠損の解剖学的特徴を併有する疾患群についての検討
キーワード:congenital heart disease, anatomy, 21-trisomy
【緒言】房室中隔欠損(AVSD)は房室中隔の欠損に加えて共通房室接合と房室弁異常を併せ持つことを解剖学的特徴とする。一方、膜様部心室中隔欠損(VSD2)は、房室中隔を有し、特殊な例を除いて房室弁形態は正常となる。しかし、21-trisomy患者の中で、両側房室弁輪の下壁側においては、左右房室弁のoff-settingを認め、筋性房室中隔を有しているにも関わらず、膜様部中隔側では心室中隔欠損を介して左右の房室弁が連続した形態を示し、共通房室弁の特徴を有する一群の症例が存在する。【目的】AVSDとVSD2の解剖学的特徴を併有する症例(mix群)の臨床および解剖学的特徴を明らかにすること。【対象】2010年から2020年の間に静岡県立こども病院で経験したmix群7例を対象。エコー動画記録、心臓カテーテル記録および術中ビデオ記録から解剖学的特徴について評価を行った。【結果】全7例:全例21-trisomyを合併;診断時月齢:中央値(範囲):6 (1-17); 体重(kg):4.6 (3.1-8.0). 解剖学的特徴:全例において左右房室弁輪下壁側においては弁接合部のoff-settingを認め房室中隔が存在した。一方、膜様部ではVSD2を介して左右の房室弁が連続していた。SBL形態からの分類:Rastelli type A=4; type B=0; type C=0; intermediate type (separate orifice)=3。AVSDの特徴からの分類:Inlet/outlet disproportion(+)=2; 左室乳頭筋が上下位置関係=2。左室乳頭筋の位置異常を認めた症例はいずれもinlet/outlet disproportionを認める症例であった。【考察】AVSDとVSD2の両方の特徴を併有するmix群はいずれも21-trisomyを基礎疾患として有していた。SBLの形態は左右に分割されるものと、中央にtongueをもつintermediate typeの2種類のみであった。AVSDの特徴がより強くなる症例ではinlet/outlet disproportionと左室乳頭筋位置異常を併せ持つ傾向が見られた。