The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

一般心臓病学

デジタルオーラル(I)01(OR01)
一般心臓病学

指定討論者:麻生 健太郎(聖マリアンナ医科大学 小児科)
指定討論者:小野 博(国立成育医療研究センター 循環器科)

[OR01-2] 乳幼児期に無症状で発見されたsmall coronary arteriovenous fistula(CAVF)の中期経過

三井 さやか, 福見 大地, 大島 康徳 (名古屋第一赤十字病院 小児循環器科)

Keywords:冠動脈肺動脈瘻, 自然閉鎖, 無症状

【背景】近年エコーの精度向上によりsmall coronary arteriovenous fistula(CAVF)が無症状の患者で偶然みつかる頻度が増えている。有症状や短絡量が多いCAVFの治療報告は散見されるが、自然閉鎖の頻度は様々である。小~中のCAVFでも中高年期に心不全や狭心症を生じることがあり小瘻孔でも3-5年毎のエコーフォローが推奨される。当院では新生児スクリーニングや川崎病の心エコーでsmall CAVFを発見し継続して経過観察している症例も多く、乳幼児期から思春期までの自然経過を明らかにすることを目的とした。【対象と方法】2009年1月~2019年12月に当科で新生児スクリーニングあるいは外来の心エコーでCAVFを指摘された18歳以下の患者の、発見時月齢、性別、転帰、冠動脈走行などにつき診療録から後方指的に検討した。【結果】65名(男児34名、女児31名)が対象。CAVFを指摘された平均月齢は14か月(0~86か月)で平均追跡期間は42か月(0~215か月)。自然閉鎖に男女差はなく(男児15例、女児16例が閉鎖、p=0.623)、起始部の有意差はなかった(左冠動脈61例中29例、右冠動脈4例中2例閉鎖、p=1)。開口部が肺動脈内/心室内では心室内で消失率がやや高かったが有意差は認めなかった(肺動脈内55例中24例、心室内10例中7例閉鎖、p=0.174)。CAVFの指摘後平均5年で半数(48%)に自然閉鎖を認めた。1例は1歳4か月時コイル塞栓されたがその他治療介入例はなかった。経過中虚血や心不全を認めた症例はなかった。【考察】CAVFの自然閉鎖は48%にみられ従来の報告よりも高値で予後良好であった。CAVFの閉鎖機序は、CAVF内血流のずり応力による内皮細胞障害、動脈硬化性、血栓性の閉塞、線維化、局所の心筋肥大などが推定される。開口部が肺動脈より心室内で閉鎖率が高いのは拡張期の圧較差が後者で高くずり応力の影響が大きいことを示唆しているかもしれない。