[OR02-5] 18トリソミー児の在宅移行を目的とした手術、治療介入に関する検討
キーワード:18トリソミー, 先天性心疾患, 在宅移行
【背景】18トリソミー児(T18)の治療介入に関するエビデンスが集積されてきたことで、心臓手術を含む手術介入が積極的に考慮されてきている。【方法】2011年1月から2019年12月までに当院で管理したT18について、心合併症、外科的介入の有無、医療的ケアの導入の有無、転帰などの項目を診療録から後方視的に検討した。【結果】同期間中にT18は17例(男児5例、モザイク型1例)あった。在胎週数及び出生体重はそれぞれ、31週4日~41週0日(中央値38週5日)、885g~2146g(中央値1854.5g)であった。観察期間は0か月~69か月(中央値3か月)で生存例は3例(18%)であった。全例に心血管奇形がみられ、内訳は心室中隔欠損症(VSD)9例、両大血管右室起始症(DORV)4例、大動脈縮窄複合(CoA complex)3例、純型肺動脈閉鎖1例であった。在宅移行を希望したのが7例、実際に移行できたのはVSD5例、DORV1例の計6例であった。手術の希望があった3例(VSD2例、DORV1例)に肺動脈絞扼術PAB(日齢28~32:平均日齢25)を施行し、そのうち1例は在宅酸素のみ、2例は非侵襲的換気を導入のうえ在宅移行できた。在宅療養に移行できた患者のうち3例は観察期間中に死亡し、死因は急性肺炎2例(5歳9か月、1歳9か月)と肝芽腫(2歳2か月)であった。CoA complexの1例は超低出生体重児であったため、心臓手術の希望はあったが施行できず、NICU内で呼吸不全・心不全で死亡した。VSDに肺動脈弁狭窄症を合併した1例は手術を施行せず室内気管理のまま在宅移行できたが、のちに気管軟化症が顕在化し3か月時に気管切開・人工呼吸器管理を導入した。【結論】心疾患に対する手術を行い在宅移行した患者も全例在宅での呼吸補助を要していた。また、在宅移行後の死因として急性肺炎の割合が高く、気管軟化症が顕在化した症例がいることから、在宅移行にあたっては呼吸の安定化が重要と考える。