[OR03-3] 出生直後の心臓外科治療を準備して計画分娩を行った重症先天性心疾患症例の検討
Keywords:胎児心臓病, 周産期管理, 胎児心エコー
【背景】近年、多くの心疾患は胎児診断されて計画的に周産期管理されている。心疾患の中には出生直後に重篤な循環不全を来す症例があり、児の救命のためには外科治療を準備して計画分娩を行っているがそれらの有効性や予後に関する報告は少ない。【目的】心臓外科治療を準備して計画分娩を行った症例の周産期管理の問題点を明らかにすること。【対象・方法】2015-19年に外科治療を準備して計画分娩した21症例の胎児診断,臨床経過,予後について後方視的に検討した。【結果】症例21例の出生週数と体重は中央値37.5(29-38)週,2.5(1.4-3.2)kg,診断は完全房室ブロ ック(CAVB)5例,QT延長症(QT)1例,肺静脈狭窄を合併した総肺静脈還流異常(PVO)6例,circular shuntを伴うEbstein奇形 (PE)5例,卵円孔狭窄した左心低形成(rHS) 3例,重度大動脈弁逆流1例であった。胎児診断による心疾患の診断に問題はなかったが,気管狭窄病変(気管閉鎖/肺動脈スリング)は2例が生後に診断された。21例中19例は予定どおりに外科治療を行ったが、気道狭窄病変の2例は外科治療中止、PEの1例は循環動態が保たれており1生日に外科治療を行った。予後に関して、19例中4例は死亡退院で、AVBのうち29週に胎児水腫のために緊急帝王切開で出生した2例は、ペースメーカー治療は有効であったが心機能低下により新生児死亡した。rHS 2例は肺静脈うっ血に伴う肺障害による乳児死亡で、出生直後の外科治療が原因である症例はなかった。【結語】出生直後に外科治療を準備して計画分娩を行うことは児を救命する有効な手段であるが、妊娠30週未満の早産児, 気道狭窄/肺障害合併例の救命は困難であった。予後に影響する胎児気道病変および肺障害の評価は超音波検査のみでは不十分であり、より正確な評価方法の確立が必要である。