[OR03-5] DPDTによるEbstein病の予後
Keywords:Ebastein病, TR, DP/DT
Ebstein病の予後は非常に幅広く、胎児期に正確に予測することは難しいのが現状である。今回我々は、TRの最大流速TR maxおよびTRから求めたDP/DTとEbstein病の予後について後方視的に検討したので報告する。対象:胎児診断され予後は明らかな30例を対象とした。方法;出生直前の胎児心エコーでTRから求めたTRmaxおよびDP/DTと予後について検討した。DP/DTはTRの流速が最大流速の約1/3から2/3まで変化するためにかかった時間で流速の変化分を除して求めた。予後は、胎児死亡、新生児死亡、1心室修復、2心室修復の4段階で評価した。結果:TRは1.3m/sから4.6m/sまで分布した。TR2.8m/s未満を低値群, TR2.8m/s以上を高値群とした。DP/DTは88から895まで分布した。DP/DT300未満を低値群、300以上の高値群とした。TRとDP/DTは正の相関を示した。DP/DT低値群13例中、胎児死亡3例、新生児死亡4例、1心室修復6例であり、2心室修復可能な症例は1例もいなかった。DP/DT高値群17例中、胎児死亡1例、2心室修復は16例であり、Starnes手術を要した症例は1例もいなかった。TR max低値群14例中、胎児死亡3例、新生児死亡5例、1心室修復4例であり、2心室修復可能な症例は2例が含まれていた(TRmax 2.5m/s ,2.7m/s)。TR max高値群16例中、胎児死亡1例、2心室修復は13例であり、Starnes手術を要した症例は2例が含まれていた(TRmax 2.8m/s ,3m/s)。考案: TRmaxとDP/DTはどちらもTRより求められるデータであり、両者は良好な相関を示した。両者を比較すると、DP/DTは300によって新生児期Starnes手術の必要性を全例予測できるのに対し、TRmaxは2.5~3.0m/sの間に重複が認められることがわかった。結語;DP/DTはTRmaxの弱点を補う有用な指標と考えられる。