[OR04-3] 純型肺動脈閉鎖および重症肺動脈狭窄症の中長期的な予後も視野に入れた治療戦略
キーワード:純型肺動脈閉鎖, 重症肺動脈狭窄症, RV overhaul
【背景】純型肺動脈閉鎖(PAIVS)および重症肺動脈狭窄症(CPS)は右心系の発達や類洞交通の有無により治療方針が異なり、中長期的な予後にも大きく影響する。【目的】当院の経験をもとに本疾患群における治療方針の妥当性を検討する。【結果】対象はPAIVS 17例, CPS 8例の計25例、観察期間は13.3(0.6~32.3)年。単心室循環(UV)が3例、One and one-half repair (1.5V)が4例、二心室循環(BV)が18例で観察期間は各々23.9(17.4~30.2)年、14.7(8.5~32.3)年、11.2(8.5~32.3)年。類洞交通ありと判断された4例のうちUV到達が1例、残り3例はBV。UV症例の出生時三尖弁輪 Z score (TVZ)は不明。心房細動(Af)を来しTCPC conversionを行った症例が1例。1.5V症例の出生時TVZ=-3.54(-13.4~1.37、1例不明)。4例中2例にAfを認めた。弁輪径は十分だが三尖弁狭窄のある症例、Afを来した症例がtake down症例。BV症例の出生時TVZ=-3.0 (-10.4~0.07、2例不明)。カテーテル治療(CI)のみでBVを3年以上維持している症例が7例で出生時のTVZ=-1.72 (-0.07~-3.22)、最終的なTVZ=-1.06 (0.04~-4.68)と有意な成長は得られなかった。TV Z score -5以下の症例は5例とも手術介入を必要とした。心房間交通が閉鎖した一例は右室の拘束障害が徐々に進行している。【考察】出生時TZV -3以上の症例はCIのみでBVが成立しており、出生時TZV -3以上はBV成立の良好な指標と思われる。UVは長期的な合併症が最大の懸念だが、BVへの適応拡大は予後不良となることがあった。当院でも1.5Vにtake down後もAfに難渋する症例、心房間が閉鎖し右心負荷が進行する症例を認めた。一方、RV overhaulも駆使し安定した1.5Vを維持する症例や、心房間交通を残すことでBVを維持している症例も存在している。【結語】1.5V治療および心房間を十分に残したBVを選択することで長期予後を改善しうる可能性があり、手術方法の適切な選択のためにもさらなる症例の蓄積が望まれる。