[OR06-1] 拍動抵抗を考慮に入れた新たな実効動脈エラスタンスを用いたファロー四徴症の右室後負荷評価
Keywords:拍動抵抗, 肺循環, 右心室
【背景】心室の後負荷を収縮力との関係において評価する指標として、実効動脈エラスタンス(Ea)が知られている。しかし、Eaは拍動抵抗という周波数特異的な抵抗が十分に勘案されていない。我々は、拍動抵抗を考慮に入れた新たな実効動脈エラスタンスEa’を考案し、拍動抵抗を考慮することで血行動態評価がどのように変わるについて検証した。【方法】ファロー四徴症(ToF)術後患者29名(中央値5.9歳)と年齢をマッチした29例の対照群において行った心臓カテーテル検査の結果を後方視的に検討した。Eaは収縮末期圧/一回拍出量(SV)として、Ea’は一回仕事量/SV2として計算し体表面積で補正した。肺動脈の圧と血流量を測定し、入力インピーダンスをはじめとする後負荷指標の評価を行い、EaとEa’との関係について調べた。【結果】対照群に比べてToF群では、平均肺動脈圧は同等(P=0.11)であったが、高い肺血管抵抗(R)、低い肺動脈コンプライアンス (C)、反射波増強、高い特性インピーダンス (Z)を反映し、Ea(0.27±0.16 vs 0.80±0.57mmHg*m2/ml, P<.0001)、Ea’(0.33±0.18 vs 0.73±0.40mmHg*m2/ml, P<.0001)共に上昇を認めた。ToF群内で、EaとEa’は強い相関(r=0.85、P<.0001)を認めたが、Ea‘がC,R,Zと全てと相関を認めたのに対し、EaはC,Rのみと有意な相関を認めた。心係数との相関係数はEa(r=-0.37, P<.05)よりもEa’(r=-0.45, P<.05)の方がやや高かった。【結論】EaとEa’はどちらもToFにおける高い後負荷を検出することが出来たが、Ea’にはZの影響が反映されており、Eaより心係数との相関がよく、血行動態評価指標としてより有用である可能性が示唆された。