[OR06-4] ある程度の大きさを持った低形成左室や心室中隔が先行し右室自由壁が遅れる収縮パターンは単心室症の典型的な機械的非同期である
Keywords:単心室, 機械的非同期, 収縮後伸展運動
【背景】心室中隔の収縮後伸展運動(rebound stretch, RS)は成人左脚ブロックにおいて心室機械的非同期を代表する動きとして知られる。一方、単心室症において伝導障害は良く見られるにもかかわらず、解剖学的左室・右室の混在や心室中隔欠損の有無などの解剖学的な複雑さゆえ、機械的非同期の病態解析は不十分である。
【方法】wide QRSを呈するFontan/Glenn術後の単心室患者63名(中央値14歳、女児24名)に対し、2D speckle trackingエコー法により主心室自由壁とその他の領域(痕跡的心室壁や心室中隔)のストレインを別々に解析した。両者のうち収縮先行壁側を同定し、そのストレインパターンからRSの程度を算出した。BNP値、収縮先行壁RSの関係を検討した。また2コンパートメントを持つ単心室モデルに対し収縮開始の時間差を与えることで心室間非同期を再現し、Fontan循環のシミュレーションを行った。心室壁面積比を変更し、心拍出量、収縮先行壁RSの程度がどのように変化するか検討した。
【結果】心室自由壁側の収縮が遅れる者は、左室優位型22例では10例(45%)であったが、右室優位型40例では32例(80%)と高頻度であった。高BNP値、収縮先行壁のRSを呈する者はこの32例に集中していた。シミュレーションでは30-40%の領域が先行し60-70%の領域が遅れる解剖学的特徴が、収縮開始時間の遅れに伴って収縮先行壁RSが目立ち急速な心拍出量の低下を呈する心室形態であった。遅れる心室壁に低収縮能を与えると、更に低心拍出が助長された。
【結論】ある程度の大きさを持った低形成左室や心室中隔が先行し右室自由壁が遅れる収縮パターンは、単心室症における機械的非同期の代表的な病態と考えられる。低形成左室壁や心室中隔においてRSを認めるような心不全例に対しては、再同期療法が有効と予想される。
【方法】wide QRSを呈するFontan/Glenn術後の単心室患者63名(中央値14歳、女児24名)に対し、2D speckle trackingエコー法により主心室自由壁とその他の領域(痕跡的心室壁や心室中隔)のストレインを別々に解析した。両者のうち収縮先行壁側を同定し、そのストレインパターンからRSの程度を算出した。BNP値、収縮先行壁RSの関係を検討した。また2コンパートメントを持つ単心室モデルに対し収縮開始の時間差を与えることで心室間非同期を再現し、Fontan循環のシミュレーションを行った。心室壁面積比を変更し、心拍出量、収縮先行壁RSの程度がどのように変化するか検討した。
【結果】心室自由壁側の収縮が遅れる者は、左室優位型22例では10例(45%)であったが、右室優位型40例では32例(80%)と高頻度であった。高BNP値、収縮先行壁のRSを呈する者はこの32例に集中していた。シミュレーションでは30-40%の領域が先行し60-70%の領域が遅れる解剖学的特徴が、収縮開始時間の遅れに伴って収縮先行壁RSが目立ち急速な心拍出量の低下を呈する心室形態であった。遅れる心室壁に低収縮能を与えると、更に低心拍出が助長された。
【結論】ある程度の大きさを持った低形成左室や心室中隔が先行し右室自由壁が遅れる収縮パターンは、単心室症における機械的非同期の代表的な病態と考えられる。低形成左室壁や心室中隔においてRSを認めるような心不全例に対しては、再同期療法が有効と予想される。