[OR08-2] 乳幼児における腋窩動脈アプローチのための解剖学的検討
Keywords:カテーテル治療, 腋窩動脈, 乳児
【背景】乳幼児期のカテーテルインターベンションで腋窩動脈アプローチの有用性が報告されている。成人では腋窩動脈近位部(外側胸動脈より近位)での穿刺が推奨されているが、乳幼児では血管径が細く胸郭と近接していることが問題であり、至適穿刺部位は定まっていない。【目的】腋窩動脈穿刺をより安全に行うため乳幼児の腋窩動脈の解剖学的検討を行うこと。【方法】2018~2019年に当院で施行した血管造影で、腋窩動脈が観察可能であった6歳以下の症例を対象とした。腋窩動脈径とその主要分枝(外側胸動脈と肩甲下動脈)の分岐パターンを検討した。腋窩動脈は1)近位部(第一肋骨外縁)、2)中部(第三肋骨外縁)、3)遠位部(上腕骨近位部周辺)で計測、左右差、血管径と体格・主要分枝の分岐パターンとの関連を検討した。【結果】51例(65セッション)、106本の腋窩動脈を検討。月齢中央値68(0~85)カ月、体重中央値7.2(1.8~15.9)kg、単心室血行動態は9/51例。腋窩動脈径は全部位で体重と正の相関を示し、右側が左側より5~9%太く(P<0.05)、近位部、中部では大部分の症例で4Frシースサイズ外径に相当する2mm以上の径があったが、遠位部では約半数が2mm未満であった。外側胸動脈は第一肋骨外縁~第三肋骨外縁の間から分岐し、分岐部は27%で第二肋骨外縁より遠位で、19%で肩甲下動脈と共通管として分岐した。外側胸動脈が遠位から起始する症例では腋窩動脈の近位部から中間部にかけて血管径の減少率が優位に大きかった(p<0.05)。【考察】乳幼児においても、大半の症例で4Frシース以上の留置が可能だが、外側胸動脈より近位での穿刺は必ずしも容易ではない。外側胸動脈が遠位から起始する症例や遠位部では血管径が小さく注意を要する。【結語】乳幼児の腋窩動脈アプローチでは穿刺部位と主要分枝の分枝パターンに注意を要する。