[OR08-4] 先天性心疾患に合併した体静脈狭窄に対するカテーテル治療
Keywords:体静脈インターベンション, 体静脈狭窄, 血管バルーン拡張術
【背景と目的】先天性心疾患に合併する血管狭窄は肺動静脈や大動脈が中心であるためそのカテーテル治療の経験は多いが、体静脈(上大静脈や無名静脈など)狭窄に対するカテーテル治療の知見は少ないので検討した。【方法】体静脈に対してカテーテル治療を実施した8例(男児5例、女児2例)のカテーテル治療の臨床データを後方視的に検討した。【結果】カテーテル治療時年齢中央値3歳3か月(19日-8歳11か月)、体重10kg(2.3-23.5)であった。基礎心疾患は房室中隔欠損2例、単心室2例、三尖弁閉鎖1例、左心低形成1例、両大血管右室起始症1例であった。上大静脈(左上大静脈含む)狭窄6例、無名静脈狭窄2例であり1人は上大静脈と無名静脈のそれぞれに治療を行った。先行手術は二室修復術3例(大血管スイッチ術1例含む)、右心バイパス3例(Norwood、両方向Glenn、Fontan)であった。1例が上半身の高度浮腫から心エコー検査で診断され、その他定期心エコー検査で1例、定期心臓カテーテル検査で6例が診断された。手術病変(人工心肺脱血管カニュレーションを含む)と関連していたのは5例であり、残る2例はPVOステントによる圧迫とPIカテーテルによる血栓閉塞であった。対象血管の狭窄率34%(5-100)、圧較差5mmHg(1-13)であった。経皮的血管形成を7例に行い、狭窄部径に対し250%(189-357)径バルーンを使用し14気圧(10-30)まで加圧した。1例に超高耐圧バルーン(30気圧)を使用した。残る1例は経皮的血栓吸引術を実施した。有効例7例、部分的有効例1例で無効例はなかった。手技に関連した合併症はなかった。1例はその後右心バイパス術へ進み、1例で狭窄解除術、治療前狭窄率が高かった2例でバルーン拡張を繰り返した。【考察】体静脈狭窄は術後の吻合部狭窄に多い。比較的高耐圧バルーンにより加圧しないと治療効果を得られないこともあり積極的な高耐圧バルーンの使用が望ましい。強い狭窄病変は再発することもある。