The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

カテーテル治療

デジタルオーラル(I)08(OR08)
カテーテル治療2

指定討論者:中川 直美(広島市立広島市民病院 循環器小児科)
指定討論者:星野 健司(埼玉県立小児医療センター 循環器科 )

[OR08-5] 純型肺動脈閉鎖症の遠隔期予後-単施設における後方視的検討

加藤 温子1, 廣田 篤史1, 加藤 愛章1, 藤本 一途1, 岩朝 徹1, 北野 正尚1, 坂口 平馬1, 帆足 孝也2, 大内 秀雄1, 市川 肇2, 黒嵜 健一1 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器内科, 2.国立循環器病研究センター 小児心臓血管外科)

Keywords:純型肺動脈閉鎖, 遠隔期予後, 不整脈

【背景】純型肺動脈閉鎖症(PAIVS)において、介入を要する新生児期に将来の右心機能を推測するのは困難である。近年はカテーテル治療も可能となっており、様々な治療戦略が遠隔期に及ぼす影響はまだ不明な点が多い。【目的】当施設のPAIVSに対する根治術法ごとの中・長期予後を明らかにする。【方法】1977年9月より2019年6月までに当院で手術あるいはカテーテル検査を受けた患者114名のうち、機能的あるいは解剖学的根治術が終了し、転機が明らかであった79名(男:女=36:43)を、最初に行った根治術により単心室群(SV, n=38)、One and one-half群(1.5V, n=6)、二心室群(BiV, n=35)の3群に分け、臨床データを比較検討した。【結果】初回根治術はSV 1.9歳、1.5V 3.1歳 BiV 0.8歳(p<0.001)で、フォローアップ時の年齢は17.9年(0.5-41.1年)であった。BiVにおける経皮的肺動脈弁形成術は19例(54%)で行われていた。NYHA II度以上であった症例はSV 5例(14%)、1.5V 0例(0%)、BiV 4例(14%)で抗心不全薬はSV 18例(47%)、1.5V 2例(29%)、BiV 10例(29%)に処方されていた。最終中心静脈圧(mmHg)、BNP値(pg/mL)はそれぞれSV 9(6-17)、15.8(5-113.6)、1.5Vで11(9-16)、40.3 (17.3-281.8)、BiVで5(1-15)、23.4(5.9-226.0)であった(p<0.01)。経過中の心イベントはSV 9例(24%)、1.5V 3例(50%)、BiV 8例(23%)で起こっており、うち不整脈はSV 2例、1.5V 3例、BiV 7例で認められ、BiVは全例外科的に右室流出路形成(TAP)を要した症例であった(OR=20.0, p=0.01)。遠隔期死亡はSVで3例(8%)に認めた。【結語】二心室到達症例でも不整脈は2割で起こっており、心イベントは単心室症例と同頻度であった。TAPを必要とする二心室症例は右室の機能障害を合併していることが示唆され、不整脈を念頭においた経過観察が必要であると考えられた。