[OR09-2] 上室性頻拍に対するアブレーション治療を行った小児患者のCoronary sinus異常についての検討
Keywords:冠静脈洞異常, WPW症候群, 副伝導路
【背景・目的】冠静脈洞(Coronary sinus: CS)異常は0.1-0.3%にみられる。CSの解剖は不整脈治療時に重要である。小児アブレーション患者で検討を行った。【方法】2006年から2020年の間に当院でアブレーションを行った18歳未満の上室性不整脈患者(心内修復術を要する先天性心疾患は除外)のCS異常を後方視的に調査した。【結果】対象は729名(WPW症候群466,房室結節回帰性頻拍196,心房内回帰性頻拍29,心房粗動30,心房細動8)。うちCS異常は4名(0.55%):CS aneurysm (CSA)2,CS ostium atresia(CSOA)2で全てWPW症候群。同疾患のCS異常は4/466(0.86%)。後中隔副伝導路では3/102(2.94%)。(症例1)潜在性WPW症候群の14歳女児。初回CS開口部に通電を行ったが再発。再治療時冠静脈洞造影でCSAと診断、CSA内通電で治療に成功。(症例2)顕性WPW症候群の5歳女児。初回CS造影でCSAと診断、CSA内通電で治療に成功。(症例3)顕性WPW症候群の12歳男児。CSカテ挿入困難のため冠動脈造影を行い、partially unroofed coronary sinus を伴うCSOAと診断。CS左房開口部近傍の僧帽弁輪後中隔へ経心房中隔・経大動脈的に焼灼を行い治療成功。( 症例4))顕性WPW症候群の10歳男児。初回治療時CSカテ挿入困難。三尖弁輪後壁通電が無効。再治療時冠動脈造影でCSAと診断、三尖弁輪自由壁複数副伝導路で、治療に成功。【考察】成人WPW症候群アブレーションでのCS異常は2/410(0.49%)と報告されている (JOA2019)、今回の結果も近似しており、後中隔副伝導路ではより高頻度であった。CS構造異常部位近傍に通電を要し、治療に難渋することもあるため、正確な解剖の把握が必須である。