The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

デジタルオーラル

電気生理学・不整脈

デジタルオーラル(I)10(OR10)
電気生理学・不整脈2

指定討論者:坂口 平馬(国立循環器病研究センター 小児循環器科)
指定討論者:畑 忠善(藤田医科大学大学院 保健学研究科)

[OR10-2] 新生児期早期の心電図はQT延長症候群の診断に有用である可能性がある

小澤 淳一1, 鈴木 博2, 大野 聖子3, 八木原 伸江4, 馬場 惠史1, 塚田 正範1, 阿部 忠朗1, 沼野 藤人1, 堀江 稔5, 齋藤 昭彦1 (1.新潟大学 小児科, 2.魚沼基幹病院 小児科, 3.国立循環器病研究センター 分子生物学部, 4.新潟大学 循環器内科, 5.滋賀医科大学 循環器内科)

Keywords:QT延長症候群, 新生児, 心電図

【背景】QT延長症候群 (LQTS) は、新生児の突然死の原因のひとつである。しかし新生児期早期の心電図変化は多様と考えられており、この時期にQT延長症候群を診断する方法は未だ確立されていない。【目的】新生児期早期の心電図により、LQTSを診断する方法を検討する。【方法】両親のいずれかがLQTSの遺伝子診断をされており、胎児期から経過観察をした9家系11例 (女児7例) を対象として、臨床所見、遺伝子検査、心電図の継時的変化について検討した。【結果】両親の診断は、LQTS 1型 (LQT1) 4家系、2型 (LQT2) 1家系、8型 (LQT8) 1家系であった。児については、遺伝子検査の結果、正常3例、LQT1 5例、LQT8 3例であった。QTcについて、日齢1の心電図ではII、V5あるいはV6誘導でLQT1の2例ではT波が平低か陰性で計測困難であったが、その他の症例では正常群 454 ± 39.1ms、LQT1 506 ± 58.4ms、LQT8 539 ± 48.4msであった。生後1ヶ月では、正常群 421 ± 17.3ms、LQT1 518 ± 15.0ms、LQT8 468 ± 9.3msで、LQT1群では正常群と比較し優位なQT延長を認めた。日齢1の心電図で、ST-T波形について、LQT1群とLQT8群では、胸部誘導でV4を含む3誘導以上に、horizontalあるいはdown-slopeのST部分に続く陰性T波を認めた。このうちLQT1群の2例、LQT8群の2例について、その後の継時的変化を検討したところ、これらの所見はいずれの症例でも少なくとも日齢2までは認められた。また正常群の2例において、日齢6までに複数回の心電図記録を行なったが、同様の所見は認められず、LQTSに特徴的な所見である可能性があった。【結論】日齢1から2の心電図は、LQT1、LQT8の診断に有用である可能性がある。