[OR10-2] 新生児期早期の心電図はQT延長症候群の診断に有用である可能性がある
キーワード:QT延長症候群, 新生児, 心電図
【背景】QT延長症候群 (LQTS) は、新生児の突然死の原因のひとつである。しかし新生児期早期の心電図変化は多様と考えられており、この時期にQT延長症候群を診断する方法は未だ確立されていない。【目的】新生児期早期の心電図により、LQTSを診断する方法を検討する。【方法】両親のいずれかがLQTSの遺伝子診断をされており、胎児期から経過観察をした9家系11例 (女児7例) を対象として、臨床所見、遺伝子検査、心電図の継時的変化について検討した。【結果】両親の診断は、LQTS 1型 (LQT1) 4家系、2型 (LQT2) 1家系、8型 (LQT8) 1家系であった。児については、遺伝子検査の結果、正常3例、LQT1 5例、LQT8 3例であった。QTcについて、日齢1の心電図ではII、V5あるいはV6誘導でLQT1の2例ではT波が平低か陰性で計測困難であったが、その他の症例では正常群 454 ± 39.1ms、LQT1 506 ± 58.4ms、LQT8 539 ± 48.4msであった。生後1ヶ月では、正常群 421 ± 17.3ms、LQT1 518 ± 15.0ms、LQT8 468 ± 9.3msで、LQT1群では正常群と比較し優位なQT延長を認めた。日齢1の心電図で、ST-T波形について、LQT1群とLQT8群では、胸部誘導でV4を含む3誘導以上に、horizontalあるいはdown-slopeのST部分に続く陰性T波を認めた。このうちLQT1群の2例、LQT8群の2例について、その後の継時的変化を検討したところ、これらの所見はいずれの症例でも少なくとも日齢2までは認められた。また正常群の2例において、日齢6までに複数回の心電図記録を行なったが、同様の所見は認められず、LQTSに特徴的な所見である可能性があった。【結論】日齢1から2の心電図は、LQT1、LQT8の診断に有用である可能性がある。