[OR12-5] 周術期にFontan takedownまたは予定外のFenestration作成を行った症例の検討
キーワード:Fontan型手術, 周術期, Fontan takedown
【緒言】Fontan型手術を行う際、術後に循環が成立せずFontan takedownあるいは予定外のFenestration作成を余儀なくされることがある。今回、当院で2004年-2019年にFontan型手術を施行し、周術期にFontan takedownあるいは予定外のFenestration作成(以下、再手術)を行った症例についてその背景、経過、予後を検討した。【結果】対象症例は453例で、そのうち12例(2.6%)で再手術が行われていた。12例の手術時年齢は1.1歳-3.8歳(中央値2.0歳)であった。基礎疾患は22q11.2欠失症候群が1例、右側相同が2例であった。主心室は右室型が6例、両心室型が3例、左室型が3例であった。Fontan術前のカテーテル検査結果で、肺動脈平均圧の最大値が16mmHg以上の症例は4例で、肺血管抵抗が2Wood単位以上の症例は7例であった。造影で、3例はPAindexが150mm2/m2未満であり、 6例は主心室のEFが60%未満であった。術前カテーテル検査で、これら4つの条件すべてに当てはまらない症例は存在しなかった。予定術式はFenestrated TCPCが4例であった。術後全例で再手術まで人工呼吸管理から離脱できておらず、1例では循環不全が遷延しECMO管理となっていた。再手術を2週間以内に行った症例は7例で、残り5例は2週間以上経過してから判断していた。周術期死亡は3例(25%)で、うち2例は2週間以上経過してから再手術となっていた。残る1例は再手術後に一度循環が安定するも右横隔神経麻痺による呼吸状態悪化を来し、さらに感染を合併したことで死亡していた。【結語】Fontan術前カテーテル検査で肺動脈圧16mmHg以上、肺血管抵抗2Wood単位以上、PAindex150 mm2/m2未満、主心室EF60%未満のいずれかを満たす症例では、Fontan循環が成立しない可能性がある。こういった症例で、術後の経過が悪い場合は早期に再手術に踏み切ることで予後が改善する可能性がある。