[OR13-2] 心臓MRIを用いた左室心筋緻密化障害(LVNC)の左心室機能解析
Keywords:LVNC, cMR, 左室非緻密化層
【背景】近年、心臓MRIの画像解析技術の向上により心室壁の描出が鮮明となり、3次元での心室容量や拍出量、駆出率などの心室機能解析が可能となった。心臓MRIの利点は、検査の低侵襲性や高いコントラスト分解能、空間分解能が挙げられる。今回我々は、心臓MRIを用いて左室心筋緻密化障害(LVNC)の心筋緻密化層および非緻密化層と左心室機能解析を行ったため報告する。【方法】2016年4月から2019年12月に当院で心臓MRIを施行したLVNC患者11例(14-18歳、中央値 15歳)とコントロール10例(11-19歳、中央値14歳)を対象とし、Siemens社製MAGNETOM Avanto 1.5Tを用い、心臓MRI cine撮影データからAZE社製ワークステーション「AZE Virtual Place」で心室機能解析を行った。【結果】LVNC患者における左室非緻密化層の割合は左室心筋重量全体の38.2±3.0%とコントロール群の14.3±1.2%に対して有意に高かった(p<0.001)。次に、LVNC患者の左室心筋緻密化層の心筋重量と左室駆出率はy=-0.15x+73.0 (R2=0.12)と相関関係を示さず、左室心筋非緻密化層/緻密化層の重量比と左室駆出率はy=-12.4x+69.2と負の相関傾向(R2=0.33)を示し、左室心筋非緻密化層と左室駆出率はy=-0.19x+69.8と高い負の相関関係(R2=0.48)を示した。さらに遺伝子異常を認めるLVNC群の左室心筋非緻密化層重量(46.8±6.8 g/m2)は遺伝子異常を認めなかったLVNC群の左室心筋非緻密化層重量(25.5±4.2 g/m2)と比較すると有意であった(p=0.03)。【結論】心臓MRIを用いて、左室心筋の非緻密化層および緻密化層を正確に測定することが可能となり、LVNC患者の左心室機能には左室非緻密化層の重量が非常に重要であるという結果を得た。