[OR14-2] 左心低形成症候群に対するNorwood+Glenn手術成績の後方視的検討
Keywords:左心低形成症候群, Norwood Glenn手術, 手術成績
【背景】左心低形成症候群(HLHS)に対する初回姑息術としてprimary Norwoodと両側肺動脈絞扼術(bil.PAB)のいずれを選択すべきかは、未だ議論が分かれている。当院ではハイブリッド手術によるbil.PABの後、Norwood+Glenn(NG)手術を行うことを第一選択としている。出生後早期の人工心肺使用や高侵襲の手術を避けられる利点があるが、術後の肺動脈の発育の問題があり、また周術期管理に難渋する場合もある。【対象と方法】2005年から2019年までにNG手術を受けた30名の中期遠隔成績に関して後方視的検討を行った。またNG術後チアノーゼのため追加シャントを行った8例(S+群)と行わなかった22例(S-群)に分け、治療経過、死亡率およびカテーテル検査結果を比較した。【結果】HLHSは27例、HLHS variantは3例であった。NG手術時日齢は中央値104(IQR: 94-127)日、手術時体重は中央値4078 (IQR: 3488-4574)g、術後観察期間は中央値1599(IQR: 602.5-3389.2)日であった。NG術後の1年生存率は90%、3年生存率は85%であった。30例中3例がNG術後に死亡、20例がTCPCに到達し、そのうち2例がFontan不全で死亡。7例がTCPC待機中である。 死亡率はS+群62.5% (5/8例)、S-群0% (0/22例)とS+群で有意であった (P<0.01)。またS+群死亡例全例が術後15日以内に追加シャントを要し、S+群生存例は術後数カ月後に追加シャントを行っていた。LPA閉塞はS+群50%(4/8例)、S-群0% (0/22例)とS+群で有意に多かった(P<0.01)。一方、NG手術時日齢・体重、bil.PAB期間、NG術前カテーテル検査でのRp、PA indexは、両群間で有意差はなかった。【考察】NG手術において、術後早期の追加シャントを要する症例の死亡率は高い。術前のデータによるリスクの層別化は困難であり、術後の肺動脈血流の注意深い経過観察が必要である。