[OR14-5] フォンタン術後患者における運動時末梢静脈圧上昇と運動耐容能の関係
Keywords:フォンタン, 心肺運動負荷試験, 中心静脈圧
【はじめに】肺心室を欠くフォンタン循環では肺血流を増やし体心室に前負荷をかけるためには中心静脈圧(CVP)を上昇させる必要がある。そのため運動負荷時など高心拍出量を要する状況では、ある程度のCVP上昇が予想される。フォンタン術後患者ではCVPと末梢静脈圧(PVP)が相関することが知られており、本研究ではその特徴を利用しフォンタン術後患者に対してPVPをモニタリングしながら心肺運動負荷試験(CPX)を行うことで、運動時PVP上昇と運動耐容能の関係を検討した。【方法】フォンタン術後患者17名(男:9名、年齢中央値:12歳)に対して、前腕部に22ゲージ以上の末梢静脈ルートを確保し、末梢静脈圧をモニタリングしながらトレッドミルランププロトコールで心肺運動負荷試験を行った。最大運動時末梢静脈圧(peak PVP: mmHg)とCPXで得られる以下の運動時循環指標、最大酸素消費量(peak VO2: l/min/kg)、予備心拍数(HR reserve: bpm)、最大酸素脈(peak O2 pulse: l/m2)との相関関係をそれぞれ検討した。また、peak VO2と同時期に測定した安静時循環指標、CVP(mmHg)、心室拡張末期圧(mmHg)、心室駆出率(%)、心係数(l/min/m2)、肺血管抵抗(unit・m2)、肺動脈係数、BNP(pg/mL)との相関関係についても検討した。【結果】peak PVPはpeak VO2、HR reserve、peak oxygen pulseのすべてと負の相関を示した(r = -0.7, p < 0.01, r = -0.6, p < 0.05, r = -0.5, p < 0.05)。安静時循環指標の中でpeak VO2との相関関係を示したものは無かった。【考察】肺心室を欠くフォンタン循環において、peak PVP高値を示す患者では運動時に心室の前負荷を効率的に増やすことが出来ず、結果的に1回拍出量を示すoxygen pulseの増加が制限されたと考えられる。それだけでなく心房への前負荷刺激はHR上昇に影響するため、心拍応答も制限されたと考えられる。上記2要因が心拍出量の増加を制限し運動耐容能低下に関与したと考えられる。