[OR15-1] MRI-Feature trackingによるFallot四徴症術後遠隔期の右室および左室の心筋ストレイン評価
Keywords:MRI feature tracking, Fallot四徴症術後, ストレイン
【背景】Fallot四徴症(TOF)心内修復術後遠隔期において,肺動脈弁逆流による右室容量負荷や流出路狭窄による圧負荷が問題となる.その評価法としては心エコー等が用いられているがエコーウインドーなどのために心臓全体を評価することが困難なことが多い.【目的】TOF遠隔期の右室容量負荷が心機能に与える影響について,心臓全体の画像収集が可能なcineMRIのFeature Tracking法(2DMRI-FT)を用いて.心筋ストレイン解析を行い心筋線維方向の機能の面から評価すること.【対象】対象は当院の2008年から2019年までに心臓MRI検査を行ったTOF心内修復術後患者52名(検査時15.4±6.5歳,初回手術後14±6.3年).右室流出路狭窄進行例(RV/LV>0.8),不整脈合併例は除外した.【方法】解析画像はcine MRI(Philips社 Multiva 1.5T 20-321frame/cardia cycle)で四腔および二腔断面,短軸断面,長軸断面 を撮像記録後,Tomtec image arenaを用いてcine MRIの四腔像から2DMRI-FTを用いて左右両心室のlongitudinal strain(GLS)を,短軸像からcircumferential strain(GCS)およびstrain rateを計測した.同時に左室拡張末期容積係数(LVEDVI),右室拡張末期容積係数(RVEDVI),EF、 phase contrast法により心拍出量を計測した.解析は,右室容積および右室EFとGLS,GCS(絶対値)との関係を求め,右室容量負荷が与える影響について検討した.【結果】1.右室容積とGLS,GCSとの関係:右室容積とGLS,GCSは負の相関(r=0.482, r=0.356)があり特にGLSはより低下した.2.右室EFとGLS,GCSの関係:右室EFはGLS, GCSと相関して変化するが,RVEDVが大きな例ではGLSがより相関した.またGLS*GCSとEFの相関はr=0.632で,右室容積が増加するとGLS とGCSの相乗効果で影響を受けていた.【結語】TOF術後遠隔期における心機能解析で2DMRI-FT は心エコーに比べ左右心室の全体の心筋機能解析が可能で有用である.TOF術後遠隔期では右室容積とGLS,GCSとはよく相関し右室EFはその積と相関する.