The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラル(I)15(OR15)
術後遠隔期・合併症・発達2

指定討論者:城戸 佐知子(兵庫県立こども病院 循環器内科)
指定討論者:立野 滋(千葉市立海浜病院 小児科)

[OR15-3] 小児の先天性心疾患術後における周術期痙攣発作とてんかんの後方視的検討

池川 健, 小野 晋, 水野 雄太, 杉山 隆朗, 河合 駿, 若宮 卓也, 金 基成, 柳 貞光, 上田 秀明 (神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

Keywords:先天性心疾患術後, 周術期痙攣発作, てんかん

【背景】周術期痙攣発作(clinical seizures: CS)とてんかんの発症は、先天性心疾患(CHD)の術後患者でしばしば経験され、QOLに大きな影響を及ぼす。【目的】小児期CHDの周術期におけるCSおよびてんかんの発生率と危険因子を明らかにすること。【方法】2013年1月から2016年12月の4年間に当院で小児CHDに対して手術を実施した782人を対象とした。後方視的に周産期、周術期およびフォローアップの臨床情報を収集した。ロジスティック回帰分析を実施して、CSおよびてんかんの危険因子を解析した。解剖学的CHD分類は、術前の心エコー図に基づいて次の4つのカテゴリーに分類した。クラスI:大動脈弓に狭窄病変を伴わない二心室循環、クラスII:大動脈弓に狭窄病変を伴う二心室循環、クラスIII:大動脈弓に狭窄病変を伴わない単心室、クラスIV:大動脈弓に狭窄病変を伴う単心室。【結果】3症例は手術以前にてんかんと診断されており、それを除外した779症例で検討した。22例(2.8%)がCSを経験し、18例(2.3%)がてんかんを発症した。てんかん患者の18例中10例(55%)にCSを認めた。循環形態(二心室または単心室)(P=0.03),解剖学的CHD分類(P=0.04)、ECMO使用の有無(P=0.03)、CSの発症(P<0.001)はてんかんと関連していた。CS患者の22例中20例にCTもしくはMRIを行い、13例で脳梗塞、3例で脳出血の計16例(80%)で異常所見を認めた。てんかん患者18例中15例にCTもしくはMRIを行い、10例の脳梗塞、1例の低酸素性虚血性脳症の計11例(73%)で異常所見を認めた。【結語】CSの発生率は2.8%、てんかんの発生率は2.3%であった。CSの発症に加えて循環形態、解剖学的CHD分類、ECMO使用の有無がてんかんの危険因子であった。