[OR15-4] 先天性心疾患新生児における人工心肺下手術後の頭蓋内出血性病変の検討
キーワード:人工心肺, 頭蓋内出血, 発達
【はじめに】先天性心疾患(CHD)の手術において人工心肺(CPB)は不可欠であるが, 神経学的合併症は予後に影響する因子として知られている.【目的】CHD新生児におけるCPB下手術後の頭蓋内出血性病変の合併を明らかにすること.【方法】2014年3月-2019年12月に当院NICUに入院し, CPB下手術を施行したCHD新生児の術後MRI所見を後方視的に解析. また, 遠隔期の発達検査結果から出血病変の影響を調べる.【結果】期間中のCHD新生児入院患者数148人に対しCPB下手術を行い, 脳MRIを施行した症例45人(30.4%)が対象. 出血性病変の合併は25人(55.6%)に認め, 内訳は微小出血巣 22人(48.9%), 硬膜下血腫5人(11.1%), くも膜下出血1人(2.2%). 出血性病変を認めた全例で入院中に神経学的異常を認めなかった. 脳MRI施行の45人中, 出血性病変あり群(25人)と出血性病変なし群(20人)を比較したところ, 出生週数, 出生体重, アプガースコア, 手術時日齢, 手術時体重に有意差は認めず. CPB時間は出血性病変あり群で長い傾向があり(261.0±92.3分 vs 199.5±120.3分, p=0.097), 循環停止時間は出血性病変あり群で有意に長かった(120.7±68.4 vs 70.3±75.3分, p=0.025). 出血病変あり群25人中, 1-3歳までにBayley III乳幼児発達検査を行った児は12人おり, 認知95.0±12.8, 言語92.4±14.4, 運動 101.4±15.7と比較的良好だった.【まとめ】新生児期におけるCPB下手術後の頭蓋内出血性病変の頻度は高く, 心肺停止時間に関連がある. 出血性病変あり群の短期的な発達予後は良いが, 長期的な発達フォローは必要である.