[OR15-5] 総肺静脈還流異常修復術後の合併症に関する検討
キーワード:総肺静脈還流異常, 術後合併症, 不整脈
【目的】総肺静脈還流異常(TAPVR)の術後合併症として,死亡,肺静脈狭窄(PVO),不整脈の発生を検討する.
【方法】2002年10月~2019年4月までに当院で修復術を行った症例53例を対象とした.内臓錯位症候群は除外した.症例は,男児33例,女児20例であった.初回手術日齢は15.6±22.4日,初回手術体重は3.0±0.6kg,Darling分類はI型26例,II型12例,III型10例、IV型5例であった.経過観察期間中のPVOの有無,死亡,12誘導心電図の所見を後方視的に検討した.また,不整脈の発生について,同様に新生児期に開心術を行った完全大血管転位(TGA)I型34例と比較検討を行った.
【結果】PVO合併は10例あり,7例で解除術を行った.死亡例は7例(手術死亡6例,遠隔死亡1例)あった.うち,PVOが原因で死亡したものは5例,原因不明のものは1例,心疾患に起因しないものが1例あった.死亡例を除いた症例46例の術後の経過観察期間中央値は6年(1年~16年9ヶ月)であった.現在に至るまでに年齢に不相応な洞性徐脈を認めた症例は6例(13.0%),接合部調律を呈した症例は5例(10.9%)あった.これらの11例のうち,8例に1歳時点で徐脈傾向を認めた.高度の徐脈を呈した3例でホルター心電図を施行し,1例では最大4.9秒の洞停止を認めたため10歳時にペースメーカ植え込み術を施行した.残り2例では,3秒以上の洞停止は認めず無症候性であり慎重に経過観察する方針とした.同期間に外科介入を行ったTGA I型の経過観察期間中央値は8年(1年1ヶ月~16年7ヶ月)であった.現在までに年齢不相応な洞性徐脈を呈した症例は2例(5.9%)のみであり,調律異常を認めた症例はなかった.TAPVR術後の方が高率に徐脈性不整脈を合併した.(p=0.036)
【考察】術後遠隔期には,同時期に心内操作の加わるTGA I型と比較し,高率に徐脈傾向や調律異常を認めた.徐脈を呈する症例では以降もその傾向が持続しており, 長期的な経過観察が必要と考えられた.
【方法】2002年10月~2019年4月までに当院で修復術を行った症例53例を対象とした.内臓錯位症候群は除外した.症例は,男児33例,女児20例であった.初回手術日齢は15.6±22.4日,初回手術体重は3.0±0.6kg,Darling分類はI型26例,II型12例,III型10例、IV型5例であった.経過観察期間中のPVOの有無,死亡,12誘導心電図の所見を後方視的に検討した.また,不整脈の発生について,同様に新生児期に開心術を行った完全大血管転位(TGA)I型34例と比較検討を行った.
【結果】PVO合併は10例あり,7例で解除術を行った.死亡例は7例(手術死亡6例,遠隔死亡1例)あった.うち,PVOが原因で死亡したものは5例,原因不明のものは1例,心疾患に起因しないものが1例あった.死亡例を除いた症例46例の術後の経過観察期間中央値は6年(1年~16年9ヶ月)であった.現在に至るまでに年齢に不相応な洞性徐脈を認めた症例は6例(13.0%),接合部調律を呈した症例は5例(10.9%)あった.これらの11例のうち,8例に1歳時点で徐脈傾向を認めた.高度の徐脈を呈した3例でホルター心電図を施行し,1例では最大4.9秒の洞停止を認めたため10歳時にペースメーカ植え込み術を施行した.残り2例では,3秒以上の洞停止は認めず無症候性であり慎重に経過観察する方針とした.同期間に外科介入を行ったTGA I型の経過観察期間中央値は8年(1年1ヶ月~16年7ヶ月)であった.現在までに年齢不相応な洞性徐脈を呈した症例は2例(5.9%)のみであり,調律異常を認めた症例はなかった.TAPVR術後の方が高率に徐脈性不整脈を合併した.(p=0.036)
【考察】術後遠隔期には,同時期に心内操作の加わるTGA I型と比較し,高率に徐脈傾向や調律異常を認めた.徐脈を呈する症例では以降もその傾向が持続しており, 長期的な経過観察が必要と考えられた.