[OR16-5] 先天性心疾患術後患者において、4型コラーゲン7sは中心静脈圧を反映する
Keywords:先天性心疾患術後, バイオマーカー, 中心静脈圧
【背景】先天性心疾患術後遠隔期は、房室弁逆流や右室流出路狭窄が起きることで右心系の容量負荷や圧負荷が生じ、右心機能低下がもたらされる。右心機能低下により静脈うっ滞や中心静脈圧上昇が起き、それが慢性的に続くと肝障害に繋がることも知られている。この右心系の血行動態変化を簡便に検査する方法は限られている。【目的】先天性心疾患術後患者で、肝線維化マーカーから中心静脈圧上昇を評価することが可能かどうか検討すること。【方法】2015年1月から2019年12月に当院に検査入院した先天性心疾患術後患者143名のうち、術後5年以上を経過した二心室循環の症例62名を対象にした。明らかな肝障害を起こしている症例は認めなかった。年齢の中央値は12歳(5-33歳)。心臓カテーテル検査で得られた検査値と肝線維化を示すバイオマーカー(P3P、4型コラーゲン7s、ヒアルロン酸)を比較検討した。【結果・考察】各検査値の平均値±SDは、中心静脈圧 6.8±3.5mmHg、P3P 24.3±15.5ng/mL、4型コラーゲン7s 5.9±1.6ng/mL、ヒアルロン酸 18.5±13.6ng/mLであり、中心静脈圧との相関係数(R)はP3P 0.003、4型コラーゲン7s 0.67、ヒアルロン酸 0.31で、4型コラーゲン7sが最も良い相関関係を示した。4型コラーゲン7sと中心静脈圧10mmHg以上で検討したROC曲線では、AUC 0.865であり、4型コラーゲン7sのカットオフ値を6.0ng/mLとすると、感度80%、特異度75%であった。4型コラーゲン7sは肝線維化の初期から上昇することが報告されており、今回の結果は中心静脈圧上昇に伴う肝うっ血にも鋭敏に反応したと考えられた。【結論】先天性心疾患術後患者において、肝線維化マーカーの中でも4型コラーゲン7sは中心静脈圧をよく反映し、遠隔期のフォローアップに有用である。