第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

成人先天性心疾患

デジタルオーラル(I)17(OR17)
成人先天性心疾患1

指定討論者:手島 秀剛(市立大村市民病院 小児科)
指定討論者:中山 智孝(高知大学医学部 小児思春期医学)

[OR17-4] Ross-Konno術後のautograftに関する遠期遠隔成績の検討

野村 竜也, 中野 俊秀, 小田 晋一郎, 安東 勇介, 合田 真海, 岡本 卓也, 緒方 裕樹, 酒井 大樹, 角 秀秋 (福岡市立こども病院)

キーワード:Ross-Konno術後, autograft, 遠隔期成績

[目的] 当院で大動脈弁狭窄を伴った左室流出路狭窄に対するRoss-Konno術後のautograftの成績に関して,考察を交えて報告する.[対象と方法] 1998年から2019年までに当院でRoss-Konno手術を施行した23例を対象とした.左室流出路狭窄の原因疾患は大動脈弁狭窄のみが16例,大動脈弁狭窄と大動脈弁下狭窄が2例,大動脈弁狭窄と大動脈弁上狭窄が5例であった.大動脈弁の形態は1尖弁が1例,2尖弁が17例,3尖弁が4例,4尖弁が1例であった.先行手術は大動脈縮窄・離断根治術が11例,バルーン大動脈弁形成術が7例(計15回),直視下大動脈弁形成術が8例であった.手術時の年齢は中央値5歳8ヶ月 (2カ月~17歳4ヶ月),体重は中央値16.5kg (3.7~51.8kg)であった.術後追跡期間は中央値7年3ヶ月(最長19年5ヶ月)であった.術前の経胸壁心エコー検査で大動脈弁輪 (AVD) のZ-value中央値は-1.8 (-6.5~0.9),肺動脈弁輪 (PVD) のZ-value中央値 -0.2 (-0.7~1.0),肺動脈弁輪と大動脈弁輪の口径差は中央値2.7mmであった.これらの症例において心エコーにおける術後の大動脈弁輪径とARの変化を検討した.[結果] 在院死亡は2例あり,遠隔死亡はなかった.autograftに起因する再手術は3例あり,apico-aortic conduit bypassが1例,上行大動脈縫縮が1例,新大動脈弁形成が1例であった.術後1年未満(中央値7ヶ月)の心エコー検査では,AVDのZ-valueは中央値0.8(-2.5~3.6),ARは全例1度以下であった.術後3~5年(中央値4年6ヶ月)の心エコー検査では,AVDのZ-valueは中央値1.5(-1.2~5.5),ARは2度が1例で,他はそれ以下であった.術後10年以上(中央値12年3ヶ月) の心エコー検査では,AVDのZ-valueは中央値1.5(0.3~4.3),ARは2度が1例で,他はそれ以下であった[結語] 小児期のRoss-Konno手術は,年齢に合わせて大動脈弁輪が成長し,大動脈弁機能を良好に維持できる有用な術式であると考えられた.