[OR18-5] Fontan術後患者の12誘導心電図と心血行動態との関連
Keywords:Fontan術後, 12誘導心電図, 心血行動態
【背景】Fontan患者において、QRS幅は運動耐容能と強く関連すると報告されている。しかしながらそのほかの12誘導心電図の各指標と、心血行動態との関連についての報告は乏しい。【目的】Fontan患者の12誘導心電図から病態把握が可能かどうか検討すること。【対象】Fontan患者で2017年3月から2019年1月までに当科で定期入院検査を行った症例。そのうちAPC Fontanとペースメーカー植え込み後、接合部調律の症例を除いた101例を対象とした。【方法】12誘導心電図のP波の幅(Pdur)、高さ(Pvol)、PQ間隔(PQ)、QRS幅(QRS)、QT時間：Fridericia補正(QTc)を計測し、同一入院時に記録された心臓カテーテル検査で得られた指標（CVP、SaO2、CI、EDP、EDVI、EF）とホルター心電図におけるPACおよびPVCの数、心肺運動負荷試験から得られた指標（peakVO2）、BNPとの関連を検討した。【結果】平均年齢は20±8歳、男性62人、女性39人であった。12誘導の各指標はPdur 91±14ms、Pvol 0.13±0.04mV、PQ 149±32ms、QRS 110±17ms、QTc 378±39msであった。cross sectionalな検討では、低いP波はPVC(p=0.09)、PAC(p＜0.05)と関連し、低い運動耐容能とも関連した(p=0.07)。長いPQ間隔は低いCI(p＜0.05)と低い運動耐容能(p=0.07)と関連した。幅広いQRSは低いCI(p＜0.05)、低いEF(p＜0.01)、大きなEDVI(p＜0.01)、高いBNP(p＜0.01)、PVC(p＜0.05)と関連した。長いQT時間は高いBNP(p＜0.01)、PAC(p＜0.05)と関連した。【結論】Fontan術後患者においても12誘導心電図は病態把握に有用である。とくにPQ間隔、QRS幅は心房心室の機械的電気的同期性を反映すると考えられ、経時的な評価が重要である。