The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

周産期・心疾患合併妊婦

デジタルオーラル(I)19(OR19)
周産期・心疾患合併妊婦

指定討論者:石戸 美妃子(東京女子医科大学 循環器小児科)
指定討論者:畑崎 喜芳(富山県立中央病院 小児科)

[OR19-4] 先天性心疾患合併妊婦における左室拡張能指標の経時的変化と周産期心血管イベントについて

福光 梓1, 宗内 淳2, 金子 育美1, 小川 明希1, 奥田 知世1, 村田 眞知子1, 秋光 起久子1, 渡辺 まみ江2, 川上 剛史3, 伊藤 浩司1,4 (1.九州病院 中央検査室, 2.九州病院 小児循環器科, 3.九州病院 産婦人科, 4.九州病院 循環器内科)

Keywords:心疾患合併妊娠, 周産期, 左室拡張機能

【背景と目的】妊娠後期の左室拡張能低下は産褥心筋症をはじめとする妊娠関連心機能障害の指標となる。先天性心疾患(CHD)合併妊娠における左室拡張能指標の変化と予後について検討した。
【対象と方法】2004年以降に当院で周産期管理中に心エコー図検査を施行したCHD合併妊婦94例(心血管イベントあり22例、なし72例)を対象として、妊娠初期、後期、産褥期の各期における左室拡張能指標(左房容積、E/A、E/e')を後方視的に追跡し、周産期管理中の母体心血管イベントとの関連について検討した。心血管イベントは新規不整脈の出現、加療を要した心不全とした。
【結果】イベントあり群において妊娠初期、後期、産褥期における各変化は、左房容積(ml):44 vs 67 vs 48(p<0.001)、E/A:1.96 vs 1.36 vs 1.37(p<0.001)、E/e’:9.66 vs 10.48 vs 11.67(p=0.35)であるのに対し、イベントなし群では左房容積(ml):42 vs 45 vs 45(p=0.163)、E/A:2.13 vs 1.67 vs 1.60(p<0.05)、E/e’:10.86 vs 9.86 vs 11.30(p=0.08)であった。両群ともに妊娠初期から後期にかけてE/Aは低下し、E/e'は変化しなかったが、イベントあり群では妊娠後期の左房容積が有意に大きかった(p<0.001)。
【考察】妊娠経過中の左室拡張能指標は心血管イベントの関与で異なる推移を呈し、特に左房負荷増大に伴う変化は心血管イベント発症の予測指標になりうる可能性が示唆された。