[OR20-3] 小児期発症の特発性・遺伝性肺高血圧および先天性心疾患に合併する肺高血圧患者における心不全と右冠動脈径の関係
Keywords:肺高血圧, 冠動脈, 右心機能
【目的】小児期発症の特発性・遺伝性肺動脈性肺高血圧患者(IPAH/HPAH)及び、先天性心疾患に合併する肺高血圧患者(CHD-PH)において、右心機能が保持されている例では右冠動脈が太く発達している例が散見される。このため右冠動脈径と心不全の関連について検討した。【方法】当科で選択的右冠動脈造影/大動脈造影を実施した、3歳以上のIPAH/HPAH患者19名とCHD-PH患者24例(6.3~57歳・中央値24歳)・延べ138回のカテーテル検査について、右冠動脈径/体表面積比(RCA/BSA)と、カテーテル検査による血行動態・トレッドミル運動負荷試験における運動耐容能、BNP値、WHO機能分類・肺高血圧に対する治療薬の関連について評価を行った。【結果】RCA/BSAは右室収縮期圧、収縮期肺動脈圧/収縮期大動脈圧比(Pp/Ps)に正の比例関係にあった。(p<0.05)カテーテルで算出したRpI・CIとは相関せず、BNP・Peak VO2とは相関する傾向が認められた。相関が弱いBNP値はRCA/BSA値が一定以下になった例では高値になっていた。またIPAH/HPAH群に比べ、CHD-PH群では有意にRCA/BSAが高値(7.61±2.631 vs 1.35 ± 4.66, p<0.01)であった。【結論】発達した右冠動脈は、おそらく右心機能の保持に重要であると推測されるが、それのみで心不全を規定するものではない。しかしCHD-PHでは右冠動脈が太いことが、心不全症状が一般的に少ないことに関連している可能性が示唆された