[OR20-5] 小児期・青年期発症の肺動脈性肺高血圧症患者のメンタルヘルス
Keywords:肺動脈性肺高血圧症, メンタルヘルス, 小児
【背景】成人の肺動脈性肺高血圧(PAH)では疾患重症度がメンタルヘルスに大きく影響し、気分障害や不安障害の罹患率が高いことが知られているが、小児期から青年期発症の患者においてもメンタルヘルスの評価や管理が重要視されるようになってきた。【目的】小児期から青年期発症の特発性および遺伝性PAH患者のメンタルヘルス不調と、疾患重症度や治療との関連について検討した。【対象】対象は研究開始時点で15歳以上の患者30人(女性 19人)、年齢中央値 27歳(四分位範囲 21.75-31.5)である。治療経過年数は15.5 (11-19.25)年、Epoprostenol/Treprostinil持続静注16人、平均肺動脈は中央値48.5 (36.75-66.0) mmHg、肺血管抵抗 10.1 (8.85-17.825) Wood単位である。【方法】メンタルヘルス不調を理由に専門診療科による治療を要した4人(気分障害 2人、不安障害 2人)と就業しながら睡眠障害のため継続的な投薬を受けている4人をメンタルヘルス不調群(8人、27%)(不調群)とし、それ以外の22人を対象群とし、両群の疾患重症度、治療内容を後方視的に検討した。【結果】不調群は対照群と比較してNYHA機能分類3度以上の症例が多く(50 vs 14%, p=0.037)より重症で(平均肺動脈圧 72 vs 45mmHg (p=0.003)、肺血管抵抗 18.9 vs 9.75Wood単位 (p=0.002))、高頻度に持続静注薬が使用 (88 vs 41%, p=0.024)されていた。特に社会生活が困難となった4人は全例女性で肺血管拡張薬の持続静注を受け1年以内に心不全やカテーテルトラブルによる予期しない入院を経験していた。【結論】小児期・青年期発症PAH患者の27%がメンタルヘルス不調を訴えていた。特に高度の肺高血圧の増悪や治療合併症のため予定外の入退院を繰り返す重症PAHの症例でメンタルヘルスが悪化する傾向にあり、精神的・社会的サポートが重要であると考えられた。