[OR21-2] 肺高血圧症を合併した慢性肺疾患患者の管理:適切なフォローアップについて考える
キーワード:肺高血圧, 慢性肺疾患, 新生児
【背景】新生児医療の進歩に伴い超早産児生存率改善の一方で慢性肺疾患(CLD)は増加している。CLD重症例では肺高血圧症(PH)を合併し予後と関連する。PHを合併したCLD患者の頻度や適切なフォローアップ方法については確立していない。【目的・方法】2009年4月から2019年3月に当科に入院または外来通院したPH合併CLD患者の診療録から経過や予後を後方視的に検討し今後のフォローアップの方法を考える。【結果】対象は8例。在胎週数は26.7週、出生体重は716g(いずれも中央値)。先天性心疾患(CHD)合併は6例(ASD 3、VSD 1、AVSD 1、IAA 1)。21 trisomy 4例。全例で在宅酸素療法(HOT)使用歴あり。NICU退院時はPHを指摘されず、退院後に初めて重度PHと診断された2例があった。乳児期に重度PHであっても、HOTや肺血管拡張薬、CHDに対する外科的介入等で概ねPHは改善したが、2歳以降の遠隔期にもPH(疑い含む)が残存したのは以下の4例。症例1)19歳女性。外来で不整脈を指摘され、心エコーでTR 3.0m/sと軽度PH疑い。症例2)9歳女児。3歳時HOT終了。7歳PH疑いで心カテ:mPAP 20、Rp 3.8 u・m2。症例3)7歳男児。21trisomy、cAVSD、生後3ヵ月PDA結紮術、PAB施行。3歳心カテ:mPAP 24, Rp 4.1、4歳ICR施行。5歳心カテ:mPAP 24, Rp 2.40。症例4)3歳女児。21 trisomy、ASD。3歳心カテ:mPAP 52, Rp 11.38、HOTとPDE-5iで加療中。【考察】ハイリスク症例はNICU退院前に循環器医が心エコーを行うことで見逃しを予防できると考えられる。CHDの有無に関わらず、適切な管理や介入により概ねPHは軽快するが、遠隔期にもPHが残存する例や再燃が疑われる例もあり、ハイリスク症例では学童期以降もフォローが必要な可能性がある。新生児科医と連携し、また症例を蓄積することで遠隔期の予後と適切なフォローアップについて検討することが重要である。