[OR24-1] 川崎病ショック症候群の本態は膠質浸透圧低下である
Keywords:川崎病, ショック, 膠質浸透圧
【背景】川崎病ショック症候群(KDSS)は、急性期に集中管理を必要とする川崎病(KD)の重症型であるが、病態は明らかではない。【対象と方法】2010年-2019年の間にKDと診断され、当院集中治療室に入院した9例(S群)と、2015年にKDを発症し当院で初回治療を行った非KDSS症例124(K群)を対象とし、臨床経過を後方視的検討した。【結果】年齢はS群2-93/K群2-145(中央値11/23か月)、男6/76例、女3/48例で、全例軽快退院した。診断日は2-9/1-26(中央値4/4病日)、川崎病主要症状は3-6/3-6(5/5項目陽性)、小林スコアは1-7/0-10(5/3点)であった。S群のうち低血圧(PALSガイドラインの低血圧の定義を満たす)は9例中3例に認められ、残り6例は頻脈、尿量低下、毛細血管充満時間延長等によりショックと診断された。全例で免疫ロブリンとアスピリンが、症例によりステロイドが併用された。カテコラミン使用は2例であった。入院時の心エコー検査で左室駆出率は62.0-83.2/62.2-82.9(72.4/73.5 %)、冠動脈病変を合併した症例は1/1例(11/0.8 %)だった。診断時の血液検査では、ヘモグロビン7.6-12.0/8.6-14.0(9.0/11.5 g/dL)、血清総タンパク3.6-7.0/5.0-8.0(4.9/6.8 g/dL)、血清アルブミン1.9-3.3/2.5-4.8(2.5/3.7 g/dL)とS群は有意(p<0.0001)に低値であった。【考察】KDSSは心機能低下よりも著明な貧血、低蛋白血症が原因であることが示唆された。KDSSでは、ショック治療に並行して心機能に注意しながら川崎病の治療としての免疫グロブリン製剤を投与するほか、状況によっては血管透過性を抑制するステロイドの併用を積極的に考慮するべきである。