The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラル(I)24(OR24)
川崎病・冠動脈・血管2

指定討論者:池田 和幸(京都府立医科大学附属病院 小児科)
指定討論者:小林 徹(国立成育医療研究センター 臨床研究センター 企画運営部)

[OR24-5] 治療抵抗性川崎病に対する血漿交換療法 -治療回数と終了基準に関する検討-

須長 祐人1, 勝又 庸行1, 吉沢 雅史1, 河野 洋介1, 喜瀬 広亮1, 小泉 敬一2, 星合 美奈子3, 犬飼 岳史1, 戸田 孝子1 (1.山梨大学 医学部 小児科, 2.山梨県立中央病院 小児外科, 3.山梨県立中央病院 小児科)

Keywords:川崎病, 血漿交換, 終了基準

【背景】血漿交換療法(PE)は川崎病(KD)に対する3rd line治療に位置づけられており、6回までが保険適用とされているが、施行方法、治療回数、終了基準は定まっていない。当院では以前よりIVIG、IFX不応KD症例に対して持続的血液ろ過透析(CHDF)を併用し、緩徐にPEを施行する持続的血液ろ過透析併用緩徐血漿交換療法(SPE+CHDF)を施行し、その安全性や有効性を報告してきた。以前の検討で、PEを連日2回で終了した症例がいずれも再燃し追加治療を要したことから、PE施行回数は連日3回以上を原則としている。
【目的】当院でPEを施行した治療抵抗性KD症例を後方視的に検討し、PE施行回数と終了基準を明らかにすること。
【方法】2012年4月から2020年1月までに当院でPEを施行したKD症例のPE施行回数、PE終了理由、合併症による中止の有無、再燃の有無、冠動脈病変(CAL)の経過を検討した。
【結果】症例は20例(男児10例)。PE施行時年齢は2か月∽7歳5か月(中央値2歳4か月)、PE開始病日は7∽12病日(中央値9日)。PE施行回数は3∽6回(3回;13例、4回;5例、5回;1例、6回;1例)であった。20例中13例は3日以内に解熱、主要症状が消失し3回でPEを終了した。残りの7例は、5例が発熱、1例が発疹、1例が眼球結膜充血の残存のため4回以上のPEを要し、それらの症状の消失をもってPEを終了した。合併症による中止例はなかった。第7病日にPEを開始し3回で終了した1例で、再燃を認めたが、他に再燃例はなかった。PE施行前からCAL(z score>2)を認めていた16例では、PE後、CALの進行を認めなかった。最終的なCALの重症度分類は、一過性拡大;13例、regression;2例、中等瘤;1例であった。
【考察・結語】治療抵抗性KDに対するPEは、3回で有効なことが多いが、発熱、主要症状残存症例に対しては、施行回数の追加で、炎症を鎮静化し、CALの進行を抑制し得た。解熱及び主要症状の消失をもってPEの終了基準とすることが妥当と考えられた。