[OR25-3] 胃食道逆流症(GER)を合併した先天性心疾患の臨床転帰の検討
Keywords:GER, CHD, PH
【背景】胃食道逆流症(GER)が先天性心疾患(CHD)児に合併すると、嘔吐、体重増加不良や誤嚥による肺障害により、治療介入の時期や治療法の選択に難渋する場合がある。【目的】GERを合併したCHD症例の転帰を明らかにすること【方法と対象】2009年から2018年の10年間に出生し、GERと診断されたCHD23例中、心内修復術後GERが判明した4例を除く19例を対象とし、臨床症状、経過について後方視的に検討した。【結果】19例(男10:女9)のCHDの内訳は、ASD4例、VSD3例、AVSD3例、DORV+PSまたはPA2例、CoA、severeAS(V)、TGA(III)、HLHS、SV、TA、Asplenia、が各1例であった。二心室修復可能例は14例、5例は単心室修復例であった。12例が基礎疾患を有し、21trisomy8例、他の染色体異常・症候群3例、ミトコンドリア病1例であった。GERの診断時期は日齢10から生後8か月。EDチューブ管理が10例、NGチューブ管理が4例、少量頻回哺乳が5例で、ED管理の1例はNissen+胃瘻造設術を施行した。全例で体重増加不良を認めた。二心室修復可能14例のうち、心内修復術を実施したのは12例(ASD2例は自然閉鎖)。14例中、高肺血流性心疾患は10例で全例PHを認めた。3例はPAB後に心内修復術を施行。6例は心内修復術後もPHが残存、自然閉鎖したASDの2例でもPHが残存し治療を要した。単心室修復の5例のうち、Fontan手術に到達したのは1例のみでその他4例は姑息術の状態で死亡した。【まとめ】GER合併例では術後にもPHが残存することが多く、GERがPHの増悪因子になっていることが示唆された。単心室修復例では、原疾患の重症度に加え、GERによる体重増加不良、肺障害もありFontan手術に到達できない例が多くみられた。嘔吐や反復する呼吸器感染がある例ではGERを鑑別に挙げ精査することが重要である。CHDに合併した場合、予後改善にはより積極的な治療介入の必要性が示唆された。