The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(I)26(OR26)
外科治療1

指定討論者:白石 修一(新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野)
指定討論者:野村 耕司(埼玉県立小児医療センター 心臓血管外科)

[OR26-1] 心外型総肺静脈環流異常を合併した無脾症候群の治療成績/Stent治療は有効か?

浅井 英嗣, 竹吉 大輔, 五十嵐 仁, 橘 剛 (神奈川県立こども医療センター)

Keywords:Asplenia, TAPVC, PVO

{背景・目的}心外型総肺静脈環流異常(TAPVC)を合併する無脾症候群は現在最も治療困難な先天性心疾患の一つである。当院では2012年以降肺静脈狭窄(PVO)を合併する症例には生後すぐに内科的stent留置を、また2018年以降は手術介入時にsuture less techniqueを積極的に導入し治療成績の改善に努めてきた。当院での治療経験について検討する。{対象・方法}2014年1月から2020年1月までに当院で加療した心外型TAPVCを合併し肺静脈狭窄が重度で生後1ヶ月以内にstent留置また手術介入を要した無脾症候群13例を対象とし、後方視的に治療成績を検討した。 {結果}12例が胎児診断。13例中3例は初回治療がTAPVC repair手術を行いFontan1例、Fontan待機1例、Glenn待機1例であった。13例中10例に対し初回治療として内科的stent留置術を9例、balloon拡張を1例に行った。Stent留置・balloon拡張術を行った10例のうち2例はstent留置直後よりPVO解除不十分で肺出血1例、肺動脈絞扼術(PAB)時の出血で1例を失い、8例はTAPVC repair時の同時Glenn手術を予定していたがPV圧15mmHg以上でGlenn循環は成立しないと判断されたため6例が同時手術はPAB or BTSであった。同時手術がBTSであった2例中2例、PABであった1例/4例が死亡した。TAPVC repair+Glenn手術が行えた2例の内1例は術後Glenn不全でintrapulmonary artery septation(IPAS)手術要し、1例は心不全で死亡した。総じてStent留置を行った10例中6例が在院死亡、Glenn待機中1例、Glenn不全にてIPAS2例、Fontan1例であった。{結論}Stent治療により新生児期の人工心肺を用いた手術介入を回避出来たが最終的な死亡率軽減には至らないことが判明した。Stent治療の適応と治療後の手術介入のタイミングを再検討し、より良いFontan循環を目指した手術の工夫が肝要である。