[OR27-1] 両方向性グレン手術の変遷と問題点
Keywords:両方向性グレン手術, 左心低形成症候群, asplenia
【緒言】近年、Norwood手術やaspleniaに対する初回姑息術の成績向上に伴い、より重症例が右心バイパス手術の適応となっている【対象・方法】2001年から2016年の両方向性グレン手術(BDG)172例を対象とし、A期(~2005, 45例)、B期(2006~2010、41例)、C期(2011~2016、86例)に分け、後方視的に検討した。【結果】BDG時月齢はA期18カ月、B期5カ月、C期5カ月(P<0.0001)。HLHS/Cの割合はA期11%、B期20%、C期31%(P=0.027)。aspleniaはA期9%、B期12%、C期29%(P=0.007)。TAPVC修復の先行はA期2%、B期2%、C期15%(P=0.001)と経年的に若年化及び重症化を認めた。BDG前心カテデータ(中央値)ではPA indexはA期297、B期207、C期201(P<0.0001)。RpはA期2.6U、B期2.0U、C期1.6U(P<0.0001)。SVEDpはA期9.0mmHg、B期9.0mmHg, C期8.0mmHg(P=0.03)。術後5年生存はA期89%、B期88%、C期93%(P=0.63)。Fontan成立はA期89%、B期80%、C期83%(P=0.53)。HLHS/C、aspleniaの合併、Norwood、TAPVC修復の先行、PVS解除、DKSの併施は生存、Fontan成立共に有意な影響はなく、房室弁手術併施例のFontan成立は有意に不良であった(63% vs 88%, P=0.0015)。房室弁手術併施27例のBDG前カテーテルデータをFontan成立についてロジスティック回帰分析したところSVEDpのAUCは0.78と最も適合し、cutt-off値は7mmHgであった。またA~C期それぞれにおいてBDG前のカテーテルデータをFontan成立について同様に検討したところ、C期のSVEDpのみがAUC:0.675と適合し、cut-off値は6mmHgであった。【結語】両方向性グレン手術適応症例の重症化に伴い、かつては問題視されていたHLHS/Cやaspleniaも他疾患と遜色ない遠隔生存、フォンタン成立が見込めるようになったが、同時に房室弁手術を要する症例の予後、フォンタン成立は不良であった。外科手術成績の向上のみならずSVEDpを低く保つ管理がフォンタン到達には重要と思われた。