[OR30-1] 純型肺動脈閉鎖症に対する治療の変遷
キーワード:PA-IVS, BVR, 1.5VR
(目的)純型肺動脈閉鎖症(PA-IVS)は二心室治療(BVR)から単心室治療(Fontan)までの幅広い治療の選択肢がある。当院ではPA-IVSに対しては、一貫して単心室治療を回避するための段階的な治療戦略をとってきた。時代とともに治療に関して変遷があり、この変化についてこの度検討したので報告する。(方法)1993年から2017年までの期間で、当院で段階的治療を目的として初回から手術を行った51例を対象とした。第一段階の姑息手術としてBTシャントおよび肺動脈弁切開術を行い、その後経カテーテル治療や外科的右室流出路形成術により右室の減圧を段階的に行った後、最終治療を選択した。1993年から2002年までの期間(前期)と、2002年から2017年までの期間(後期)について、それぞれの治療の成績や内容、最終形態について検討した。(結果)前期に対象となった症例は27例。BVRに到達した症例は25例であり、そのうち4例が遠隔期に1.5心室修復術(1.5VR)への手術を行った。Fontanは1例であり、姑息的治療の段階で死亡した1例を除くと、Fontan回避率は96%であった。一方後期に対象となった症例は24例で、BVRに到達した症例は6例と少なく、1.5VRが9例でFontanが4例であった。姑息的治療の段階で死亡した4例を除くと、Fontan回避率は80%であった。どちらの群も、BVRあるいは1.5VRからFontanへのtakedownを行った症例はなかった。(結語)段階的治療を行うことにより、全体では87%の症例でFontan手術を回避できた。二心室修復術の到達度において前期と後期で差がみられたが、後期では1.5VRの積極的利用や、ASD半閉鎖などを組み合わせ、より安全で確実な手術を目指している方針と考えられた。