[OR30-3] 当院におけるTCPC conversionの成績
Keywords:単心室, TCPC Conversion, 外科遠隔期
【目的】Failing Fontan患者に対するTCPC conversionの早期成績は安定するようになってきた一方で、遠隔期の成績については不明瞭なところも多い。当院におけるTCPC conversionの成績を検討し術後遠隔期の問題点を解析する。【方法】2004年1月から2019年12月までにTCPC conversion当院で施行した全81例を対象に後方視的研究を行った。【結果】初回Fontan時年齢、初回Fontanからの期間、TCPC conversion時年齢はそれぞれ、6.5±4.9歳、19.4±6.0年、24.9±8.1歳で、初回FontanはAPC法 68例 (84.0%)、Bjork法 9例 (11.1%)、Lateral tunnel法 4例 (4.9%)であった。術前カテーテル検査でのCVP、SvO2、EDP、EFは各々12.3±2.9mmHg、66.1±7.7%、8.0±3.1mmHg、52.0±7.4%。術前41例 (50.6%)にEPSを、33例 (40.7%)にアブレーションを実施。手術は全例ゴアテックス人工血管を用いたextracardiac conduit TCPCとし、5例 (6.2%)にfenestration作成、33例 (40.7%)に不整脈手術も実施。48例 (59.3%)に心外膜リードを留置し、29例 (35.8%)にはペースメーカー本体も植込んだ。中央値5.3年のフォロー期間中に、早期死亡 4例、遠隔期死亡2例を認めた。術前に不整脈を認めた50例のうち、25例に不整脈再発を認めた。血管内治療を含めた再手術を16例に実施。術後平均2.6 年のカテーテル検査でCVP、SvO2、EDP、EFは各々12.0±3.0mmHg、70.8±5.2%、9.1±3.5mmHg、53.3±8.2%であり、SvO2のみ術前より有意に改善を認めた(p=0.01)。術後1、5、10年の死亡回避率は93.7、93.7、91.4%、再手術回避率は90.5、78.2、72.1%、不整脈回避率は87.9、78.4、39.9%、全イベント回避率は78.0、59.2、30.1%であった。【考察と結語】TCPC conversionは手術手技の安定により死亡症例は少なくなったが、術後不整脈を始めとした合併症は多いのが現状である。TCPC conversion介入時期や適応を改めて考える必要がある。