[P01-1] Ductal shockをきたす重症先天性心疾患スクリーニングに関する考察 自験例のまとめから
キーワード:Ductal shock, 閉塞性ショック, 胎児診断
【背景】Ductal shock(動脈管性ショック)は閉塞性ショックに分類され、動脈管依存性先天性心疾患の患児において動脈管が縮小・閉塞することで発症する。腹部臓器や下半身への血流が阻害されることで高度な心不全、DICを発症し致死的となるため、早急な対応が必要である。【対象と方法】当院NICUへ2005年1月~2020年1月までにDuctal shockで入院した5症例について、臨床経過を後方視的に検討した。【結果】原因疾患は大動脈弓離断症が4例、高度大動脈縮窄症が1例。入院時日齢の中央値12(5-30)、全例が正期産児で、出生体重の中央値3238g(2954-3554)であった。全例に集学的治療が施され、4例は状態改善したのちに県外の高度専門施設で心臓外科手術を受け、生存している。1例は高度心不全のため入院1病日で死亡した。【考察・まとめ】近年、胎児心エコーによるスクリーニングの普及が進んでおり複雑心奇形の診断率は向上している。しかし大動脈縮窄や大動脈弓離断の有無を正確に診断するのは容易ではなく、検者の技量にも左右される。いっぽう、出生後の児にパルスオキシメーターを装着し、SpO2の上下肢差を測定することによる重症先天性心疾患児をスクリーニングが欧米を中心に広まっているが、Ductal shockは出生後ある程度時間が経過してから発症するため、出生当初はSpO2の上下肢差や呼吸・循環の異常が目立たない場合がある。Ductal shockをきたす重症先天性心疾患の頻度はまれだが、発見・診断が困難な場合があることから、従来のスクリーニング法に加えなんらかの形でセーフティネットを設ける必要があると考える。