The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

一般心臓病学

デジタルオーラル(II)01(P01)
一般心臓病学1

指定討論者:桑原 直樹(岐阜県総合医療センター 小児循環器内科)

[P01-5] プロスタグランジンE1製剤長期使用による骨膜肥厚の検討

塚田 正範, 馬場 恵史, 小澤 淳一, 阿部 忠朗, 沼野 藤人, 齋藤 昭彦 (新潟大学医歯学総合病院 小児科)

Keywords:プロスタグランジン, 骨膜肥厚, 動脈管

【背景】プロスタグランジンE1(PGE1)製剤は動脈管依存性血行動態の新生児に対して動脈管維持のために広く使用されている。長期使用例のうち骨膜肥厚を著名に生じる症例もいるが、臨床像は明らかではない。【方法】2017年1月~2019年12月までに当院へ入院し、PGE1製剤を14日以上使用した症例のうち、胃流出路障害のため動脈管ステントを留置した症例を除いた33例を、骨膜肥厚群 (H群) 17例、骨膜肥厚 (-) 群 (N群) 16例に分けて診療録より後方視的に検討した。X線で長管骨に骨膜肥厚を認めた症例をH群と定義した。観察項目は全身性疾患、PGE1-CD長期使用例、PGE1製剤投与期間、PGE1製剤使用総量、PGE1製剤平均容量、ALP値、感染を除くCRP値、同最高体温。【結果】H群: N群の順で記載、P<0.05を有意差ありとした。全身性疾患 (人) 3:0、PGE1-CD長期例 (%) 70.6:18.8 (P<0.05)、投与期間 (日) 93.9±46.8:48.5±28.3 (P<0.05)、総量 (PGE1-CD/Lipo-PGE1) (μg/kg) 2429.9±1097.1:1620.5±1076.2 / 746±409.3:218.7±167.0 (n.s./P<0.05)、平均容量 (CD/Lipo) (ng/kg/min) 24.5±7.0:31.3±16.1 / 4.3±2.3:3.3±1.3、ALP (U/L) 1420.1±604.4:1002.9±426.0 (P<0.05)、CRP (mg/dl) 1.19±2.07:0.28±0.72 (P<0.05)、体温 (度) 38.5±0.34:38.2±0.33 (P<0.05)。骨膜肥厚が原因でPGE製剤投与を中止した例はなかった。【考察】PGE1長期使用例では骨膜肥厚が生じやすい。PGE1-CDの方が骨膜肥厚を生じやすいが、総量の有意差は認めなかった。Lipo-PGE1であっても、多量に長期間使用すると骨膜肥厚が生じうる。ALP、CRP、体温は骨膜形成反応を反映してH群で有意に上昇するが、体温は骨膜肥厚がなくとも上昇しうる。【結語】PGE1製剤を長期間、多量に使用すると骨膜肥厚を生じやすい。PGE1製剤使用で発熱を認めることがあるが、ALP、CRPは骨膜肥厚患者で有意に高値となる。