The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

一般心臓病学

デジタルオーラル(II)02(P02)
一般心臓病学2

指定討論者:岸 勘太(大阪医科大学 小児科)

[P02-1] 肺血流増加型心疾患の心臓カテーテル検査における全身麻酔の影響

郷 清貴, 山田 佑也, 鈴木 孝典, 伊藤 諒一, 森本 美仁, 鬼頭 真知子, 森鼻 栄治, 河井 悟, 安田 和志 (あいち小児保健医療総合センター 循環器科)

Keywords:心臓カテーテル検査, 全身麻酔, 肺血管抵抗

【背景】当院では、従来自科による静脈麻酔下に心臓カテーテル検査を行っていたが、2017年より麻酔科医による全身麻酔下の検査に移行した。肺血流増加型心疾患に対する検査では麻酔の影響を加味した結果解釈が必要であるが、血行動態に及ぼす影響を検討した報告は少ない。【方法】高肺血流の診断で行われた1歳未満の心室中隔欠損(VSD)患者に対する全身麻酔下カテーテル検査連続45例(うちtrisomy 21患者:11例)を、後方視的に検討した。体制移行前に自科麻酔下で施行したVSD患者連続45例(同じくtrisomy 21患者11例)を対照群とした。PS、AS、CoA等、左右短絡量に影響する構造異常を合併した患者は除いた。【結果】全身麻酔群は全例挿管下で、自科麻酔群は自然気道の下で施行された。平均年齢は0.34歳 vs 0.28歳、VSD径/体表面積は27.3 mm/m2 vs 26.9 mm/m2で、両群に有意差を認めなかった。非trisomy 21患者では、QpI(11.6 vs 12.1 L/min/m2、p=0.51)、QsI(4.18 vs 4.09 L/min/m2、p=0.70)、Qp/Qs(3.03 vs 2.91、p=0.59)いずれも両群間に差を認めなかった。RpI(1.63 vs 2.39 Wood U・m2、p<0.01)、RsI(10.7 vs 13.2 Wood U・m2、p<0.01)は共に全身麻酔群で低値であった。 CVP、PAWPは全身麻酔群で高値であり(7.4 vs 4.3、10.2 vs 8.0 mmHg、p<0.01)、検査開始時のpCO2は全身麻酔群で有意に低値であった。(38.5 vs 44.5mmHg、p<0.01) trisomy 21患者では、QsIが全身麻酔群で有意に低く(3.48 vs 4.34 L/min/m2、p<0.01)、RsIは両群間に差を認めなかった。(12.2 vs 11.2 Wood U・m2、p=0.52)【考察、結論】肺血流増加型心疾患に対する全身麻酔下の検査では、調節換気と麻酔薬の使用により肺・体血管抵抗がparallelに低下し、結果として肺体血流比、肺体血管抵抗比は静脈麻酔時とほぼ同等となる。trisomy 21患者においては、異なる血行動態の変化を示す可能性があり、症例を蓄積して検討したい。