第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

一般心臓病学

デジタルオーラル(II)02(P02)
一般心臓病学2

指定討論者:岸 勘太(大阪医科大学 小児科)

[P02-2] 早産低出生体重児におけるNT-pro BNPの特徴

内田 英利, 齋藤 和由, 鈴木 大次郎, 小島 有紗, 畑 忠善 (藤田医科大学 医学部 小児科)

キーワード:NT-pro BNP, 低出生体重児, 腎機能

【背景】これまでに早産低出生体重児のNT-pro BNP値について、生後の経時的変化を観察した研究はわずかであり、本指標と腎機能の関係を明らかにした報告はない。【目的】早産低出生体重児における本指標の出生体重との関係、また出生後の変化を観察する。さらに成熟過程にある腎機能指標との関係を分析する。心疾患を合併した早産児と比較し心不全の指標として応用できることを検証する。【方法】対象は2016年から2018年までの3年間に藤田医科大学病院で出生し、NICU病棟に入院した新生児である。多発奇形、先天性心疾患(CHD)を有する児を除いた在胎週数22週3日から36週6日(28.1±3.8)、出生体重535~2950g(1096.1±539.6)の児において、出生後から外来通院中に採血したのべ718検体において出生体重別で(A群:1000g未満、B群:1000gから1499g、C群:1500gから2499g、D群:2500g以上と区分)、本指標と血清BUN、Crについて後方視的に検討を行った。日齢に伴う各値の推移を観察し、本指標と腎機能指標の関係を統計学的に検討した。CHDを有する68検体についても同様に検討し比較した。【結果】NT-pro BNPは日齢と伴に低下し負の相関(R=0.6,p<0.05)を示した。体重別に見ても概ね同様の結果だった。本指標と腎機能との関係はCrで正の相関(R=0.56,p<0.05)を示し、BUNと相関はなかった(R=0.05,p= 0.18)。NT-pro BNPをCrで除したNT-pro BNP/Crはほぼ一定の値を示した。CHDにおいては、Crと有意な相関は認めなかった (R=0.22,p=0.07) 。NT-pro BNP/Crは一定の値を示さなかった。【考察】当院における早産低出生体重児のNT-pro BNPの出生後の経時的変化について検討し、本指標は日齢と負の相関性を有しCrとの相関が高く強く影響を受けていることが示唆された。腎機能の影響を補正するためにNT-pro BNP/Crを検討したところ、CHD群においては個々の症例の重症度に応じて変化していることが示唆された。