[P02-4] 小心臓症候群患児におけるMRIを用いた心機能評価の検討
キーワード:小心臓症候群, MRI, 起立性調節障害
【背景】小心臓症候群は神経循環無力症として提唱され、起立性調節障害(OD)との関連が深いとされる。心エコーを用いた過去の検討では、低心拍出が症状に関与していると考えられている。我々は、左室と同様に右室を評価することが重要であると考えた。【目的】MRIを用いた両心機能評価を行い、症状との相関を検討する。【方法】ODと診断され、胸部X線にて心胸郭比(CTR)<43%を満たし、本研究に同意を得た22名の患児を対象とした。(近畿大学病院倫理委員会承認番号 : 30-021)。MRI(MR Systems Achieva dStream, 1.5T, Philips)を用いて、左室・右室容積(EDV/ESV)、駆出率(EF)、cardiac output(CO)を算出した。尚、容積・COは体表面積で除して、LVEDVi/ESVi, RVEDVi/ESVi, CIを用いた。正常値として、Buechelの回帰モデル式を用いた。次に、患児をOD症状の重症群(S群)、軽症軍(M群)の2群に分け、重症度に寄与する因子を検討するため、ロジスティック回帰分析を行った。統計解析ソフトはEZR(version3.2.2)を用い、α=0.05を有意水準とした。【結果】男児7例、年齢(中央値)14歳。S群 15例。解析結果はLVEDVi 63.3(49.9-67.5)/ESVi 22.3 ml/m2 (17.6-26.1), RVEDVi 69.0(57.4-78.7)/ESVi 27.0 ml/m2 (25.7-33.4)、CI 3.05 L/min/m2(2.53-3.36)、LVEF 63.9%(60.7-70.7)、RVEF 58.5%(53.8-60.1)。それぞれの%正常値は81.9%/71.7%、76.8%/72.3%、80.4%、104.2%、101.3%と容積は両心室ともに小さかった。重症度に寄与する因子として、LVEDVi、CI、RVSViが有意な変数であった。【考察】小心臓症候群患児に対して、MRIを用いて右心機能を含めた心機能評価ができた。既存の報告と同様に、低心拍出が寄与すると共に、小心臓症候群の病態には右室拍出量が寄与していることが示唆された。