[P04-1] 総動脈幹症(TAC)に対する当院での治療成績:1992年~2019年
キーワード:総動脈幹症, 遠隔期, 治療成績
【目的】TACに対し当院で初回心外導管術を施行した児の特徴、治療成績を検討すること。【対象・方法】対象は1992年5月~2019年8月、TACに対し当院で初回心外導管術を施行した児。他院で初回心外導管術を受け、当科通院中の児は除外。診療録を用い、TACに関して後方視的検討を行った。【結果】観察期間は0.54~27.8年(中央値6.5年)、対象児は33名、染色体異常を伴った児は5名(38.5%)、病型はCollet Edwards分類1型が16名(48.5%)、2型10名(30.3%)、その他の型5名(15.2%)。初回手術で肺動脈絞扼術を施行したのは、22名(66.7%、PAB群)、心外導管術を施行したのは10名(30.3%、心外導管群)、palliative Rastelli術1名(3%)。初回PABを経て、2回目手術で心外導管術を施行したのは20名(60.6%)、再心外導管術を施行したのは10名(30.3%)。初回手術時日齢は、PAB群と心外導管群で差を認めなかった(中央値12.5 vs 15日、p=0.325)。2回目の術式は全例心外導管術で、Conduit径は心外導管群が有意に太かった(PAB群中央値12 vs 心外導管群17mm、p<0.0001)。当院初診時、総動脈幹弁逆流がmild以上だったのはPAB群52.4%、心外導管群50%で差は認めなかった。総動脈幹弁修復術を行ったのはPAB群4例、心外導管群は2例。死亡例はPAB群4例(12.1%、在院死亡例2例)、心外導管群2例(6.1%、在院死亡例1名)で差を認めなかった。死亡例で染色体異常を認めたのはPAB群2例のみだった。胎児診断症例数、診断日齢は両群間で有意差は認めなかった。【考察】TACの治療成績はPAB群と心外導管群間で差は認めなかった。胎児診断の有無も両群間で差を認めなかったが、早期診断することで、全身状態がより良い状態で手術に臨めると考えられた。また、心外導管群の方が再心外導管術時に太いConduitが選択可能であり、PAB群と比較し生涯手術回数は少なく済む可能性があると考えられた。【結論】今後も症例を蓄積しTACの長期的予後も踏まえて検討が必要と考えられた。