The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

一般心臓病学

デジタルオーラル(II)04(P04)
一般心臓病学4

指定討論者:石戸 博隆(埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科)

[P04-2] 乳幼児の孤発性僧帽弁逆流症の予後

坂口 嘉彬1, 江崎 大起1, 土井 大人1, 松岡 良平1, 杉谷 雄一郎1, 渡邉 まみ江1, 宗内 淳1, 落合 由恵2 (1.九州病院 小児科, 2.九州病院 心臓血管外科)

Keywords:孤発性僧帽弁逆流症, 乳幼児, 術後経過

【背景】他の心奇形を合併しない孤発性僧帽弁逆流症は先天性僧帽弁逸脱、特発性僧帽弁腱索断裂、僧帽弁裂隙等の多様性を含み、治療期間に関しては熟慮を要する。
【目的】孤発性僧帽弁逆流症の治療期間と予後に関して明らかにする。
【方法】乳幼児孤発性僧帽弁逆流症患者(N=20)の臨床データを後方視的に検討した。
【結果】診断時年齢1歳(0-5)、男10例、僧帽弁逸脱症8例、腱索断裂2例、僧帽弁裂隙5例、その他5例(感染性心内膜炎2例、不明3例)であった。Marfan症候群合併はなかった。診断時症状は心雑音12例、多呼吸・陥没呼吸7例、頻脈3例であった。診断時胸部X線CTR56%(45-69)、心エコー図左室拡張末期径120%N(99-222)、左房径149%N(119-318)、僧帽弁逆流中等度10例、重度10例であった。人工呼吸管理を必要としたのは5例(25%)、カテコラミン静注を必要としたのは8例(40%)であった。外科的治療介入を必要としたのは13例(65%)で、手術時年齢2歳(0-8)、体重12.6kg(3.3-25)であった。手術方法は僧帽弁輪包縮5例、弁形成7例、人工腱索3例、人工弁置換1例であり、僧帽弁腱索断裂の1例では人工腱索を使用した形成術を試みたが逆流制御ができなかったため人工弁置換を要した。死亡例は2例あり、超低出生体重児の原因不明僧帽弁逆流例と特発性拡張型心筋症の僧帽弁裂隙例で、いずれも診断当初から集中治療を要するほど全身状態が不良であり術前に死亡した。観察期間125.5人年において最終フォローアップ時点でmoderate以上の逆流残存を認めたのは7例(手術/非手術例=4/3)存在し、手術はいずれも僧帽弁形成術を施行されており、原因不明1例を除き僧帽弁逸脱症例であった。
【考察】孤発性僧帽弁逆流症の生命予後は許容されるものの、その僧帽弁形態異常は様々である。僧帽弁腱索断裂はその急激な経過から緊急治療を必要とする症例もあり注意を必要とし、乳幼児期発症僧帽弁逸脱症では再発例も散見された。