[P04-3] 乳児期に開心術を必要とした心房中隔欠損の検討
Keywords:心房中隔欠損, 僧房弁狭窄, 乳児期の開心術
【背景】一般に心房中隔欠損(ASD)が乳児期に手術を必要とすることは稀である。しかし僧房弁狭窄(MS)や大動脈弁狭窄(AS)、大動脈縮窄(CoA)などが存在すると乳児期でも高肺血流による心不全を来し開心術を余儀なくされる症例も存在する。【目的】乳児期に高肺血流のため開心術を行った心房中隔欠損患者の臨床像を評価すること。【方法】2013年1月1日から2019年12月31日までの期間に開心術を行ったASD患児のうち複雑心奇形やDown症や多発奇形を伴った症例を除外した5例を対象とした。診療録より後方視的に評価を行っている。評価項目は、患者背景、四腔断面像での欠損孔径、僧房弁輪径と大動脈弁輪径の対正常値(%N)、僧房弁・大動脈弁奇形の有無、CoA、左上大静脈遺残(PLSVC)の有無、カテーテル検査による肺体血流比(Qp/Qs)とした。【結果】月齢中央値 1(0-10)、体重中央値 3.0kg(2.8-6.6)、一次孔欠損は2名(40%)、二次孔欠損は3名(60%)、欠損孔径中央値 11.4mm(5.6-28.0)、僧房弁輪径中央値 63%N(49-94)、大動脈弁径 72%N(63-97)、PLSVCを伴うものは1名(20%)、僧房弁奇形2名(40%)、大動脈弁奇形1名(20%)、CoA 2名(40%)、カテーテル検査を行った症例でのQp/Qs中央値 5.46(2.23-7.75)であった。【結論】今回経験した5症例は全例に何らかの左心側の形態異常が認められた。ASDでも左心側の形態異常が存在する場合、乳児期に開心術が必要となりうる。