The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

一般心臓病学

デジタルオーラル(II)05(P05)
一般心臓病学5

指定討論者:大野 拓郎(大分県立病院 小児科)

[P05-3] 先天性心疾患を合併した食道閉鎖症患者の生命予後と長期入院にかかわるリスク因子

本田 崇, 平田 陽一郎, 高梨 学, 木村 純人, 石倉 健司 (北里大学 医学部 小児科学)

Keywords:先天性食道閉鎖症, チアノーゼ性心疾患, 長期入院

【背景】先天性食道閉鎖症は新生児期に外科的介入を要する重要な消化管奇形であるが、小児外科手術の進歩によりその予後は改善している。しかし先天性心疾患を合併した場合には病態が複雑化して、治療介入の時期や方法の選択に難渋する症例も散見される。そこで我々は、先天性心疾患を合併した食道閉鎖症患者の生命予後と長期入院に関わるリスク因子を後方視的に検討した。【方法】2000年~2020年までに当院で出生し、先天性心疾患とを合併した食道閉鎖症患者18例を対象とした。まず死亡症例3例の経過と死因を分析し、残りの15例を長期入院症例(入院期間の合計が生存期間の3割を超える症例:5例)とそれ以外(10例)の2群に分け、長期入院にかかわる因子を検討した。【結果】死亡症例は以下の3例だった。(1)両大血管右室起始症術後に肝不全に陥り生後11ヶ月で死亡した例、(2)三尖弁閉鎖症に対するFontan術後に食道手術後に膿胸を併発し、それに伴う体肺静脈シャントの増生により3歳時に心不全死した例、(3)心室中隔欠損症を伴い、胃食道逆流症に間質性肺炎を合併して3歳で亡くなった例。いずれの症例も先天性心疾患の治療には成功していたが、その他の臓器の合併症により失っていた。長期入院のリスク因子を単変量解析すると、(男児)、(低出生体重)、(チアノーゼ性心疾患)の3つであった(p<0.05)。さらに多変量解析の結果、(低出生体重)、(チアノーゼ性心疾患)が有意なリスク因子であることがわかった(p<0.05)。【考察】先天性心疾患を合併した食道閉鎖症患者の場合には、合併しない場合と比較して治療に難渋することが予想される。今回の検討の結果、特にチアノーゼ性心疾患であることや、低出生体重であることが予後を左右することが示唆され、治療方法の選択や家族への説明の際に、慎重な検討が必要であると考えられた。