[P06-2] 当院で経験した18トリソミー児の臨床経過
Keywords:18トリソミー, 心不全, 肺高血圧
【背景】手術介入による生存率改善の報告により、18トリソミーに対して一律に外科治療を差し控えるという従来の方針は変わりつつある。【目的】当院で経験した18トリソミーの経過と予後について調査すること。【方法】2000年1月~2020年1月に当院に入院した18トリソミー17例について診療録を元に後方視的に検討した。【結果】全例が心疾患を合併し、高肺血流型心疾患(VSD、DORV等)11例、低肺血流型(DORV+PS)1例、動脈管依存型(CoA、IAA等)5例だった。高肺血流型は全11例で肺高血圧を認め、うち2例はEisenmenger症候群と診断されていた。手術は消化器疾患に対して4例、心疾患に対しては1例のみPDA ligationが施行されていた。2020年2月時点の生存は2名で、生存期間中央値は107日(0-2026日)、1年生存率は25%、在宅移行率は29%だった。死因について、動脈管依存型5例は全例PGE1製剤を希望せず60日以内に死亡、それ以外の10例の内訳は、心不全・肺高血圧4例、肺炎・呼吸不全3例、無呼吸2例、肝芽腫1例だった。この10例を、6か月を超えて生存した5例(生存群)と6か月以内に死亡した5例(非生存群)に分けて比較したところ、生存群では有意に在胎週数が長く(39週 vs 34週)、出生体重も大きかった(1830g vs 1190g)。生存群ではPDA合併率が低い傾向が見られたが、有意差はなかった(20% vs 80%、p=0.21)。生存群のうち、3例で高度心機能低下による心不全を呈し、うち1例は低肺血流型心疾患の症例だった。生存群のうち1例で肝芽腫の発生を認めた。【考察・結論】心不全、肺炎による死因が多くを占めること、生存群のPDA合併率が低い傾向にあることからは、手術介入による高肺血流の是正が予後を改善させる可能性は高い。しかしながら、長期生存に伴う心機能低下や悪性腫瘍の発生など新たに発生する問題もあり、これらも考慮して十分な情報提供のもと意思決定を行う必要がある。