The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

染色体異常・遺伝子異常

デジタルオーラル(II)06(P06)
染色体異常・遺伝子異常1

指定討論者:白石 公(国立循環器病研究センター)

[P06-5] 心内修復術を経て在宅診療へ移行しえた13トリソミーの1例

松井 こと子1, 真弓 怜奈1, 磯 武史1, 若月 寿子1, 古川 岳史1, 福永 英生1, 高橋 健1, 稀代 雅彦1, 中西 啓介2, 川崎 志保理2, 清水 俊明1 (1.順天堂大学 小児科, 2.順天堂大学 心臓血管外科)

Keywords:13トリソミー, 心臓手術, 在宅医療

【背景と目的】13トリソミーは生命予後不良な染色体異常症であり、心疾患に対し心内修復術を実施した報告は少ない。今回、当院で経験した心内修復術を施行し自宅退院した13トリソミーの1例を報告する。【症例】在胎38週6日、体重2872g、Apgar score 3/3点で出生した女児。前医でFallot四徴症が疑われ当院搬送となった。精査の結果、心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、動脈管開存症と診断。口唇口蓋裂や特異的顔貌から13トリソミーを疑い染色体検査を実施し、日齢25に診断が確定した。左右短絡による肺高血圧が懸念され、当初生後1か月で肺動脈絞扼術の方針としていたが、保護者の在宅移行への意思は強固であり、心臓血管外科と検討を重ねた結果、一期的心内修復術の可能性を模索した。生後2か月の心臓カテーテル検査(平均肺動脈圧 39mmHg、Qp/Qs= 3.1、PVRi= 1.42U/m2)で心内修復可能と判断し、生後2か月半に心内修復術を施行した。一方、日齢15で実施した気管支鏡検査で気管・気管支軟化症が診断されており、心内修復術後状態が安定した生後3か月時に気管切開術と胃瘻造設術を同時に施行した。地域医療機関、在宅診療、訪問看護と連携した上で生後5か月時に自宅退院とした。現在1歳7か月、体重10kgで順調に在宅診療を継続中である。【考察】13・18トリソミーに合併した先天性心疾患に対する治療適応に定まったものはなく、その生命予後に関する倫理面や重篤性から診療戦略に苦慮することも多いが、最近では心臓手術が院内死亡率を軽減するとの報告もある。本症例は疾患に対する適切な情報提供を繰り返し、保護者の児に対する気持ちを最大限に汲み取り、在宅医や地域と連携を図りながら治療選択をしていくことで円滑に在宅へ移行しえた。【結語】生命予後不良な染色体異常児であっても、在宅診療を目指すための心臓手術は選択肢の1つとなりえる。