The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

デジタルオーラル

染色体異常・遺伝子異常

デジタルオーラル(II)08(P08)
染色体異常・遺伝子異常3

指定討論者:前野 泰樹(聖マリア病院)

[P08-6] 心室中隔欠損症を合併した7番染色体長腕部分トリソミー

浅田 大1, 河井 容子1, 喜多 優介1, 中川 由美1, 山岸 正明2 (1.京都府立医科大学 小児科, 2.京都府立医科大学 小児心臓血管外科)

Keywords:7番染色体長腕部分トリソミー, 心室中隔欠損, 肺高血圧

【背景】7番染色体長腕部分(7q)トリソミーは報告が非常に少なく、合併する心疾患や予後に関して不明な点が多い。【症例】3か月女児。血縁関係はなく、既往歴のない37歳父と29歳母の第1子として出生。自然妊娠・妊娠経過に特記事項なく前医にて在胎40週1日、2586g、経膣分娩で出生。生後耳介低位、小顎症、両股関節開排制限、両にぎり母指、右内反肘、右外反扁平足を、スクリーニングの心エコー検査で心室中隔膜様部欠損を認めた。Gバンド法で7番染色体q32-q36の逆位重複を認め、核型は46, XX, dup(7)(q36q32)と判明した。徐々に心不全症状が増悪し、生後1か月半時に当院に転院。心室中隔欠損は膜様部に9mm大と大きく認めたが、大動脈弁右冠尖が逸脱し欠損孔を一部塞いでいた。生後4か月時の心臓カテーテル検査は肺体血流比2.5、平均肺動脈圧40mmHg、肺血管抵抗4.7U・m2と肺高血圧を認め、大動脈造影にて右冠尖逸脱を認めた。生後5か月時に心室中隔欠損閉鎖術を施行し、術後経過は順調であった。現在1歳4か月になるが、心エコー上肺高血圧の残存が疑われ肺血管拡張剤内服を継続。発達に関しては定頸未、発達指数28と遅れを認めている。【考察】7qトリソミーにおける染色体の切断点はq 11からq35までと様々であるが、特にq32→qterの重複例では精神発達遅滞、筋緊張低下、顔貌異常など症状に共通点が多い。本症例も特徴的顔貌や発達遅滞など合致していた。しかし心疾患に関しては大動脈縮窄や房室中隔欠損症の合併も報告されているが、その頻度や予後は明らかになっていない。本症例も乳児期早期にカテーテル検査を行ったがすでに肺血管抵抗の上昇を認め、術後経過でも軽度の肺高血圧残存が疑われる。【結論】7qトリソミー非常に稀な染色体構造異常であり、合併心疾患に関する報告はほとんどない。文献的考察を交えて報告する。